docomoが衝撃のプランahamoを発表してからauがpovo、ソフトバンクがon LINEを発表してまた携帯プランが横並びになっていたんだけど、またまた楽天が新プラン楽天UN-LIMIT VIで馴れ合いの流れをぶった切ってきた。
ということでもはや契約しない理由がない楽天の斬新な新プランを解説する。
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楽天UN-LIMIT VIは最安0円
今回の楽天UN-LIMIT VIの何がやばいって1ギガまでなら0円で使えてしまうことなんだ。しかも期間限定とかじゃなく永遠に0円。更に無料通話付き。もはや契約しない理由がない。
楽天UN-LIMIT VIの料金プランを他社と比較すると下記。
楽天UN-LIMIT VI | ドコモ(ahamo) ソフトバンク on LINE |
au(povo) | |
〜1ギガ | 0 | 2980 | 2480 |
1〜3ギガ | 980 | ||
3〜20ギガ | 1980 | ||
20〜 | 2980 | - | - |
通話 | 無制限 | 5分 | 5分(月500円) |
海外ローミング | 2ギガ | 20ギガ | 20ギガ |
通信制限 | 1Mbps | 1Mbps | 1Mbps |
繰り返しになるけど楽天UN-LIMITは1ギガデータ以下なら0円で使えてしまう。つまり寝かしておけばお金はかからないし、WiFi運用すれば無料かけ放題が完成する。常識では考えられないことが起こってる。
更に楽天UN-LIMIT VIはデータ量無制限の2,980円はそのままに、他社が主力としている20ギガ2,980円と2,480円の価格を1,980円に設定することで他社を蹴散らした。
楽天UN-LIMIT6の月額料金の変更は全自動
しかも楽天の月額利用料の変化は全自動。データを使えば最大2,980円、使わなければ0円と自分で設定する必要も無いのが嬉しい。
もちろん今まで楽天を契約していた人も自動的に楽天UN-LIMIT VIに移行される。神。
プラン発表前は他社の20ギガ2,980円にどう対抗するかが焦点だったのに、0円のインパクトが強すぎて20ギガプランとかどうでも良くなってしまった。楽天しゅごい。
楽天UN-LIMIT契約はメリットしか無い
こうなるともう楽天UN-LIMITを契約しない理由がない。というのも全くお金がかからないどころか7,000円分のポイントまで貰えてしまう。詳細は下記。
- 契約で7000ポイントプレゼント
- 契約事務手数料0円
- 月額0円維持可能(1ギガ未満)
- 契約解除料0円
- 解約手数料0円
もはや全人類は楽天UN-LIMIT VIを契約すべきと言っても過言じゃない。
楽天0円プランの狙いは解約引き留め
実は今回楽天が0円という常識では考えられないプランの提供に踏み切ったのはそれ以外の道がなかったからでもある。
楽天UN-LIMITは品質が悪い
というのも楽天は2020年4月にサービスを開始してから現在まで一年無料とかポイントプレゼントとかのキャンペーンでなんとか新規ユーザーを獲得してきたんだけど、正直エリアが狭すぎてまだ課金してまで使いたいと思えるレベルに達していない。
しかもドコモ、au、ソフトバンクが最強の通信品質で20ギガ2,980円というプランまで発表してしまう始末。
このまま楽天が有料化してしまうとせっかく金をばらまいて獲得したユーザーを全て失ってしまう。それだけはなんとしても避けたい。
解約する理由を潰すための0円
つまり0円プランは既存ユーザーの解約を防止するための苦肉の策なんだ。無料なら解約しないよね?という懇願に等しい。
実際これによって多くの人は解約理由を失う。更に0円の大きすぎるインパクトで契約ユーザーは今まで以上に増える。楽天もユーザーもにんまりという構図。
全ては楽天のクソ回線が原因
繰り返しになるけど今回楽天が0円プランという暴挙に出たのは楽天回線があまりにも糞過すぎるからなんだ。そもそも楽天回線がクソじゃなければ0円にする必要もなかった。
そりゃサービス開始からまだ一年も経ってないから無理はないんだけど、楽天UN-LIMITはまだまだエリアが狭いしエリア内での通信も安定しない。
実際今の楽天UN-LIMITのエリアはこんな感じで、大都市は大丈夫そうでも地方は不安だし山間部なんてもってのほかという状況。
それでも去年の5月と比べるとエリアは大幅に広がってはいるんだけど、
ライフラインとなる通信回線が信頼できないのは致命的。
楽天UN-LIMITは屋内で繋がりにくい
更に楽天UN-LIMITは取り扱い周波数帯の関係から屋内だと繋がりにくい。下記が主要4社の取り扱い周波数帯なんだけど、楽天はBand3、Band18のみと他社と比べて圧倒的に少ない。
バンド 周波数帯 | 楽天 | ドコモ | au | ソフトバンク |
Band1 2.0GHz(3G/LTE) | ◎ | ◎ | ◎ | |
Band3 1.7GHz(LTE) | ◎ | ○ | ○ | |
Band6 800MHz(3G/LTE) | ○ | |||
Band8 900MHz(3G/LTE) | ○ | |||
Band9 1.7GHz(3G/LTE) | ○ | |||
Band11 1.5GHz(3G/LTE) | △ | ○ | ||
Band18/26 800MHz(LTE) | ◎ | ○ | ||
Band19 800MHz(3G/LTE) | ○ | |||
Band21 1.5GHz(LTE) | ○ | |||
Band28 700MHz(LTE) | △ | △ | △ | |
Band42 3.5GHz | △ | △ | △ |
しかもBand18はauの回線を借りているだけで自社回線じゃない。それがエリアマップの薄ピンクだから、楽天自社回線は濃いピンクのBand3エリアのみ。
じゃあ都市部を網羅している自社回線のBand3はどうなのかというと屋内では繋がりにくい欠陥電波だったりする。屋内も安定して繋ぐためにはauのBand18が必須という状況。
auに対する莫大な回線使用料の負担
更に最悪なのが楽天にとって安定接続の頼みの綱となるBand18はauとの契約に厳しい条件が付されていることなんだ。
というのもauに回線を借りるということは楽天からauへの支払いが発生するんだけど、現在楽天は1ギガにつき500円をauに支払っている。
今回楽天が発表した現在の契約者数は220万人。auのパートナー回線は楽天1回線ごとに月5ギガまで使えてしまうということは、220万回線×500円×5ギガで最大550億円の支払いが毎月発生する。しかも楽天は消費者からは一円も貰ってない。やばい。
人口カバー率70%以上でパートナー回線打ち切り
更に各都道府県単位でで人口カバー率70%を達成した段階でKDDI側は協議の上でローミング(貸し出し)を一方的に打ち切ることができる。
つまりKDDIは楽天のエリアが広がれば電波の貸し出しを辞めて追い込むこともできるし、貸し出しを辞めなくても利用料の支払いで追い込むことができる。どう転んでも楽天は地獄。
楽天の苦肉のスペースモバイル計画
この状況を打開すべく楽天モバイルはスペースモバイル計画なるものを発表していて、2023年には人工衛星型の基地局を実現する予定。ただ、上空600キロメートルを飛ぶ人工衛星までスマホの電波は届かないはずで実現性は疑問視されている。
繋がりやすいプラチナバンドとなる700MHz帯から900MHz帯の周波数が割り当てられない限り今後も楽天UN-LIMITの苦しい状況は続く。
ちなみにソフトバンクも同じようにHAPSという名の空飛ぶ基地局構想があるんだけど、こっちは上空20キロを太陽光で発電しつつ数か月間に渡って飛び続ける構想で、これなら実現はできるらしい。
ちなみにHAPSはソーラーパネルを搭載する全長78メートルの薄い機体に10個のプロペラを備えていて、こんなものが空を飛び続けると思うとワクワクが止まらない。
楽天UN-LIMIT事業は大赤字
新規参入したばかりだから当然ではあるけど楽天のモバイル事業はここ半年の間赤字が続いていて、auへの支払いと基地局建設のダブルパンチで2020年第3四半期の営業損失は433億円にまで膨れ上がっている。
それに対して売り上げ収益は楽天UN-LIMITが始まった2020年第一四半期からほぼ変わっていない。
つまり収益はMVNOシェアNo1の楽天モバイル分だけ。楽天UN-LIMITはまだ全くお金になっていない。
対して第4のキャリア参入が決まった9月周辺から営業損失は膨らみ続けていて、その合計額は1936億円にもなる。
特に2020年6月以降は基地局建設のペースを速めているらしく赤字続き。今後の急速なエリア拡大とプラチナバンドの獲得に期待したい。
携帯業界は勝っても負けても地獄
という感じで楽天UN-LIMITはまだまだエリアが少ないし、エリア内でも周波数帯が微妙で屋内は繋がりにくいし、auに回線使用料は払わないといけないし、一円も稼いでないのに今後も基地局を建てまくらないといけない上に、今回更に0円プランという暴挙にまで出てしまった。
つまり楽天UN-LIMITは今後も赤字が続くし将来的にもまだまだ収益化はできない。地獄。
もう携帯業界に旨味はない
ただ、よくよく考えてみると今の携帯業界はもう勝っても負けても旨味が無いんだ。というのも以前までの月8,000円が当たり前だった時代と違って現在はドコモ、au、ソフトバンクが幹並み20ギガ2980円のプランを用意したお陰で、どう転んでも大きな利益は出せない業界になりつつある。
つまり携帯業界で必死に争って勝ったところでジリ貧。それなら最初から携帯業界で勝つことを諦めれば良い。むしろ積極的に負けを取ることでユーザーを一気に獲得してしまおうというのが今回の0円プランの狙いなんだ。
ドコモの激安プランahamoを解説した記事は下記。
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【ドコモ新プランahamo発表】遂にスマホ料金の値下げ競争が始まる
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楽天は通信事業以外が強い
楽天の主力事業は楽天UN-LIMITではない。楽天には既に楽天市場、楽天トラベル、楽天カード、楽天銀行、楽天生命保険、楽天証券という錚々たる成功済みの事業が存在する。
しかもこれらのサービスは楽天ポイントで繋がる楽天経済圏と呼ばれていて超親和性が高い。楽天のサービスを使えば使うほどお得になるという仕組みで、実際俺も全ての楽天主力事業を使ってしまっている。
今回の楽天UN-LIMITを契約すると楽天のサービスを使った際のポイントを更に1%上乗せすることができるという仕組み。0円なのに(倒置法)
肉を切らせて骨を断つ楽天の見事な戦略
どう転んでもまだしばらく楽天UN-LIMITで利益は出せそうにない。それならいっそ楽天UN-LIMITを0円でばらまくことでより多くのユーザーを楽天経済圏に取り込んでしまおうというのが今回の0円プランの狙いなんだ。
そうすれば楽天UN-LIMITで出る多額の赤字は無駄にはならないし、0円でもユーザーが残ってくれさえすればいずれエリアがまともになった時に課金してくれるハードルが下がる。今回の0円プランは肉を切らせて骨を断つ楽天の見事な戦略だった。
楽天ゴールドカード解約は楽天UN-LIMITの布石
ちなみに最近楽天ゴールドカードのポイント+4%から+2%に改悪されたのはこの布石。ポイントを上乗せしたいなら楽天UN-LIMITを契約してねということ。楽天ゴールドカードの詳細を解説した記事は下記。
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【楽天プレミアムカードとは?】損益分岐点、楽天カードとの比較とメリット
2021年1月15日追記 2021年1月14日に楽天市場で楽天ゴールドカードを使用した際のポイント還元率が改悪されることが発表されました。変更は下記。 2021年3月31日まで ポイント還元率+4% ...
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MVNOは緩やかに死ぬ
あとドコモahamo解説の記事でも書いたけどMVNOは緩やかに死ぬ。というのももう主要4社が安くなってしまったからMVNOを契約する理由がない。
1,000円で微妙な通信品質のMVNOを契約するくらいなら3,000円で最高品質のMNOを契約したい。ということでMVNOは今後トップ4社ぐらいにまで統合が進むはず。
とはいえMVNOはADSLと同じで大手キャリアが値下げするまでの逃げ道として用意されていたからその役目は十分に果たしてくれた。合掌。
楽天UN-LIMITを契約しない理由がない
ここまで色々書いてきたけど、どう転んでも楽天UN-LIMITを契約しない理由がない。改めてその理由をまとめると下記。
- 契約で7000ポイントプレゼント
- 契約事務手数料0円
- 月額0円維持可能(1ギガ未満)
- 契約解除料0円
- 解約手数料0円
- 楽天サービスポイント+1%
完全無料で7,000円分のポイントがもらえて、楽天サービスのポイント還元率まで上がってしまう。これを契約しない理由があるだろうか、いやない(反語)
楽天UN-LIMITはメイン回線としては厳しい
ただ、繰り返しにはなるけど楽天UN-LIMITはまだまだエリアが狭い。俺みたいに渋谷区から一切出ないなら問題はないんだけど、少しでも都会を離れると接続が不安だからメイン回線としての利用は無理。
ということで単純に契約して寝かせておくか、俺みたいにデュアルSIMスマホを使って、メインをドコモ、サブを楽天という形で維持してもらうのがおすすめ。
いずれにせよ楽天UN-LIMITの契約にはメリットしかない。ということでさっさと契約して7,000ポイント貰ったうえで0円運用しつつ楽天サービスをお得に使ってほしい。