Xiaomiが遂に日本向けにおサイフ付きのハイエンドスマホ「Mi 11T Pro」を投入した。
Xiaomiのおサイフケータイは今までもMi 11 Lite 5Gとか、ソフトバンクのRedmi Note 9Tとかがあったんだけど、SIMフリーのしかもハイエンドスマホは今回が初。
更にお値段も69,800円とハイエンドスマホとしては格安。ということで購入に値するのか否かをレビューする。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
Mi 11T Proの特徴
Mi 11T Proの特徴をざっくりまとめると下記。
- Snapdragon888
- 6.67インチ120Hz有機ELディスプレイ
- トリプルカメラ(標準、広角、テレマクロ)
- 物理デュアルSIM対応
- おサイフ対応
- 120W急速充電
- 69800円~
Mi 11T Proは性能の割に値段が安いしおサイフにも対応。その代わり防水、無線充電、望遠カメラは非対応と、ある機能と無い機能がはっきりしているのが特徴。
ちなみに一緒に発売された無印版との大きな違いはCPUがDimensity1200Ultraにグレードダウンしていることと、おサイフ非対応の2点。
これでお値段は54,800円とかなり安い。おサイフが必要ない人はMi 11T無印版を購入するのもあり。
Mi 11T Proの詳細なスペック
Mi 11T Proの詳細なスペックは下記。参考にMi 11Tと比較する。
Mi 11T Pro | Mi 11T | |
ディスプレイ | 6.67(120Hz有機EL) | 6.67(120Hz有機EL) |
解像度 | 2400x1080 | 2400x1080 |
CPU | Snapdragon888 | Dimensity1200Ultra |
メモリ | 8 | 8 |
ストレージ | 128/256 | 128 |
バッテリー | 5000(120W充電) | 5000(67W充電) |
セキュリティ | 指紋 | 指紋 |
おサイフ | 〇 | × |
防水 | IP53 | IP53 |
デュアルSIM | ○(DSDV) | ○(DSDV) |
重量 | 204 | 203 |
サイズ | 76.9 x 164.1 x 8.8 | 76.9 x 164.1 x 8.8 |
価格(税込) | 69,800円~ | 54,800円 |
Mi 11T ProとMi 11の違いはCPU、おサイフの有無、ストレージ容量、充電速度、カメラ性能、音質辺り。
Snapdragon888/8ギガメモリ
MI 11T ProはCPUにSnapdragon888と8ギガのメモリを搭載した。これは現状のスマホ市場の最高性能で文句なし。メモリも8ギガあれば何不自由なく使える。
7万円で最高スペックを体感できるのはお買い得。
Antutuベンチマーク69万点
Mi 11T ProのAntutuベンチマーク結果は69万点だった。これはSnapdragon888のスコアとしてはかなり低い。過去のガジェマガの計測結果と比較すると下記。
- iPhone 13 Pro 796452(A15)
- Zenfone 8 793557(Snapdragon888)
- Find X3 Pro 747175(Snapdragon888)
- iPhone 12 707452(A14)
- Mi 11T Pro 693369(Snapdragon888)
- Pixel 6 Pro 701148(Tensor)
- moto g100 664795(Snapdragon870)
- Galaxy Note20 Ultra 644423(Snapdragon865+)
- Xiaomi Pad 5 576689(Snapdragon860)
- realme GT Master Edition 539784(Snapdragon778G)
- Mi 11 Lite 5G 519539(Snapdragon780G)
- Mi 9 500624(Snapdragon855)
- Reno 5A 376881(Snapdragon765G)
- Redmi Note 10 Pro 343568(Snapdragon732G)
- AQUOS sense 4 282575(Snapdragon720G)
Mi 11T ProにはバランスモードとパフォーマンスモードがあってCPU出力を調整できるんだけど、バランスで64万点、パフォーマンスで69万点だった。
過去のSnapdragon888のスマホと比較してもスコアが5万点以上低いのは意外だった。とはいえ74万点ものスコアを何に使えば良いのかは疑問だから、処理能力よりもバッテリー持ちにパラメータを割り振ったのは英断だと思う。
実際64万点と79万点では実使用で差を感じない。
Mi 11T Proは15時間7分バッテリー
Mi 11T Proをバッテリー計測アプリPC Mark for Androidで計測したところ、100%から20%になるまでにかかった時間は12時間6分だった(輝度50%、音量50%、バランスモード)
つまり0%までは15時間7分持つ計算になる。ガジェマガの過去の計測結果と比較すると下記。
- AQUOS sense 4 20時間58分バッテリー
- ZenFone 6 18時間20分
- moto g100 17時間59分(90Hz)
- Redmi Note 10 Pro 16時間57分(60Hz)
- ROG Phone II 15時間21分(120Hz)
- ZenFone 7 Pro 14時間31分(90Hz)
- Mi 9T 14時間27分
- Xiaomi Pad 5 14時間6分(120Hz)
- iPhone 13 Pro 13時間52分
- UMIDIGI S3 Pro 13時間45分
- iQOO Neo 3 13時間9分(144Hz)
- Pixel 6 Pro 12時間58分(120Hz)
- Redmi Note 10 Pro 12時間12分(120Hz)
- Mi 11T Pro 12時間6分(120Hz)
- Mi 9 12時間3分
- Mate 20 Pro 11時間21分
- Mi 11 Lite 5G 11時間19分(90Hz)
- realme GT Master Edition 11時間3分(120Hz)
- Find X3 Pro 10時間31分(120Hz)
- OnePlus 8 Pro 10時間31分(120Hz)
- UMIDIGI S5 Pro 9時間45分
- Galaxy Note20 Ultra 9時間35分
- Mi 10 9時間29分
- iPhone12 8時間13分
- ZenFone 8 6時間57分(120Hz)
- Alldcube M8 4時間47分
CPU出力を抑えているわりにバッテリー持ちは普通。一日は持つから困ることは無いけど、これならSnapdragon870を搭載すればよかったんじゃね?って気はする。
Mi 11T Proは5000mAh/206グラム
Mi 11T Proは5000mAhものバッテリーを搭載していて、その重量は206グラムにもなる。
とはいえ最近は200グラム越えのスマホが一般化してしまっているからもう何も感じない。寧ろ200グラムを下回ると軽い印象になった。
スマホの重量はCPUの省電力性能が上がるかバッテリー革命が起きるかしない限り軽くなることは無さそう。
Mi 11T Proの完成された外観
Xiaomiといえば安いのに品質が高い薄利多売の代表企業ではあるんだけど、Mi 11T Proも例に漏れずスマホの質感は最高に高く妥協が全くない。
背面は七色に光るガラス製で手に持った質感は優しく
待望されていたおサイフのマークもきっちり刻印してきた。ありがとうXiaomi。
もちろんカメラユニットもいつも通りスタイリッシュで安さを全く感じさせない。というか7万円は別に安くない。
Mi 11T Proはインターフェースが全体的にもりもりで、まず底面にはスピーカー、Type-C充電端子、マイク、SIMスロットを搭載する。
SIMスロットは物理SIMのデュアルSIM仕様で、2番号を管理できるのが嬉しい。
上面には家電リモコン用の赤外線と底面と同じくスピーカーを搭載する。
スピーカーはあのharman/kardonが監修していて刻印も入っているのが地味に嬉しい。
心なしか音も良い気がする。
左側面には指紋センサーを兼ね備える電源ボタンと音量ボタンを備える。
物理指紋センサーは速度も精度も高く不満無し。
右側面にはなにも無い。
前面はパンチホールを備える6.67インチの有機ELディスプレイが広がっていて
いつも通り既に画面保護フィルムも貼り付け済み。iPhoneにも見習ってほしい。
6.67インチのディスプレイサイズを比較すると下記でしっかり目に大きい(左からPixel 6 Pro(6.7インチ)、Mi 11T Pro(6.7インチ)、iPhone 13 Pro(6.1インチ))
横幅はPixel 6 Proと全く同じ。持った感覚も同じ。
ただ、他機種とディスプレイを比較するとMi 11T Proは微妙に青いのが少し気になる。
傾けるとその青さがより分かりやすい。
とはいえ見難いとかは無くて別に普通。比較するとちょっと青いよってだけ。
全体的に外観は最高レベルでケチのつけようがない、いつも通りのXiaomiという感じだった。
Mi 11T Proは120W充電器同封
もう一つ嬉しいのがMi 11T Proは120W充電器を同封してくれていることなんだ。
Mi 11T Proは無線充電に対応しない代わりに120W充電器を使えば0%から100%までたった17分で充電できてしまうのが強み。
とはいえ120Wの充電器はまだまだレアな存在で実は世の中にはほとんど出回っていない。実際にアマゾンで検索してみても1ポートの100W充電器で5000円以上するし、100W出力を超える充電器はまともなメーカーの物が見当たらない状況。
それなのにXiaomiは、120Wもの高出力充電器と、それに対応するケーブルまでを、無料でつけてしまった。驚異的。
このユーザーフレンドリーな仕様は異常。是非各社、特にアップル社には見習ってほしい。
Mi 11T Proのカメラは微妙
Mi11 T ProはXiaomiが売りとする1億800万画素センサーを搭載していて、一応カメラ性能も強みの一つということになってる。
俺は1億画素には懐疑的というか、スマホカメラに1億画素なんて絶対必要ないからどうでもいいとは思っているんだけど、とはいえ写真が綺麗に撮れるならそれはそれでOK。
ということで俺のメインスマホであるPixel 6 Proと撮り比べてきたから比較する。
Mi 11 Proのカメラ構成は下記。
- 1億800万画素メインカメラ
- 1600万画素超広角カメラ
- 500万画素テレマクロカメラ
写真は全てAI補正オンで構えて撮影するだけのJpeg撮って出し。
標準カメラ晴天写真比較
Pixel 6 Proが自然な絵作りなのに対してMi 11T Proは空を青く、影を暗く、ゴリゴリに着色した。好みのレベルではあるけどPixelと並べて比べると少しやり過ぎ感がある。
明暗差が大きい写真。Mi 11T Proは相変わらず彩度とコントラストが高め。ただ、全体の露出も高く明るく好印象な写真に仕上げた。
色合い、露出のバランスともにほぼ互角。Mi 11T Proはコントラストが高いからか明るい部分をより明るく写す傾向で、木漏れ日で少し差が出た。とはいえ誤差。
超広角カメラ晴天写真比較
Pixel 6 Proの超広角カメラはやっぱり画角が狭すぎる印象。Mi 11T Proの着色の傾向は標準カメラと同じではあるけど、全体的に緑色が足されていて違和感を感じる。あとレンズ周辺の流れ方が酷い。全体的にぼやけて見える。
Pixel 6 Proが標準カメラと同じバランスを保っているのに対してMi 11T Proは高いコントラストが仇となってビル影が濃く見難い写真に仕上がった。写る範囲が超広角で広がってAI補正のバランスが崩れたっぽい。
これも同じ。Mi 11T Proは周辺が流れすぎ、明暗差が大きすぎで酷い仕上がり。
標準カメラ夜景写真比較
夜空の写真。Pixel 6 Proもまだ少し露出が高すぎるんだけどMi 11T Proはそれ以上に高い。夜空の暗さに引っ張られて全体の露出を上げ過ぎた。
夜の繁華街の写真。Mi 11T Proは少し緑が足されているのか色合いに違和感を感じる。空の色も変。
超低照度撮影。何が写ってるかはわかるから悪くは無いけどPixel 6 Proと比べると劣る。全体的に暗くて細部が潰れてる。
超広角カメラ夜景写真比較
標準カメラとは打って変わってMi 11T Proがばっちり仕上げた。とはいえこの構図はたまたまうまくいっただけでシンプルにAI補正が安定していないんだと思う。あとやっぱり周辺が流れ過ぎてる。Pixel 6 Proは相変わらず露出が少し高く、ノイズも多い。
ド安定のPixel 6 Proに対してMi 11T Proは光源が飛びすぎ、空の色も変だし周辺も流れてるしで酷い。
超広角カメラの超低照度撮影はなにが写っているのかわからない。
Mi 11T Proのカメラは微妙
Mi 11T Proのカメラは総合的に微妙。全体的に着色が強く、コントラストが高いAI補正が全然安定しない。標準カメラの晴天写真はまだ使えるけど、夜景写真からはもう怪しくて、超広角カメラは普通に酷い。
そもそもXiaomiのカメラのソフトウェア調整がPixelとかGalaxy、iPhoneと比べると一歩二歩劣る印象で、撮影シーンごとにそれぞれ違った酷さを見せつけられた。
7万円でこの性能だからまだ許せないことは無いけど、カメラにはけして期待してはいけないというか、少なくともハイエンドスマホに求められるカメラ画質では全くなかった。
まだ4万円のMi 11 Lite 5Gの方がマシだった気がする。謎。
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Mi 11T Proも例に漏れずXiaomiのMIUIを搭載するから、MIUIの独自仕様が使える。
具体的にはツインアプリ機能とかセカンドスペース機能とかになるんだけど、この辺りは過去に何度も解説しているから専用記事を参照してほしい。
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69,800円でおサイフ付きのハイエンドスマホが遂にXiaomiからでる!!!と発表当初は興奮したMi 11T Proではあるけど、実際にレビューしてみると非常に掴みどころが無いスマホで何とも言えない仕上がりだった。
改めてMi 11T Proの強みをまとめると下記。
- Snapdragon888
- 6.67インチ120Hz有機ELディスプレイ
- トリプルカメラ(標準、広角、テレマクロ)
- 物理デュアルSIM対応
- おサイフ対応
- 120W急速充電
- 69800円
これだけ見ると素晴らしいコスパのスマホのように見える。69,800円でSnapdragon888のおサイフ対応デュアルSIMスマホは間違いなく待望だった。
それなのになぜか手放しで喜べない。原因は分かる。全てPixel 6が悪い
今まで糞コスパスマホを連発していたあのPixelが急に6で神コスパスマホを発売してしまったせいでコスパ命のMi 11T Proのコスパが霞みまくってる。これは完全なる想定外。
74,800円のPixel 6が強すぎる
というのも69,800円のMi 11T Proが74,800円のPixel 6に勝てる要素が少なすぎるんだ。Pixel 6ならほぼ同じ処理能力で防水と無線充電にも対応。しかもスマホ市場最強クラスのカメラだって手に入ってしまう。
5,000円安くするためにMi 11T Proを選ぶには失う物が多すぎる。これがMi 11T Proのコスパが霞む原因。
Mi 11T Proの強みはベクトルが微妙
もちろんMi 11T Proにもharman/kardon監修のスピーカーとか120W充電とかの強みはあるんだけど、どれも微妙。
音なんて違いはわからないし充電はそこまで早くなくても良いしバッテリーも1日持てばいい。Mi 11T Proの強みはどれもあれば嬉しいんだけど無くても良い程度のものばかり。
そしてそれ以上にカメラが弱すぎるのが痛い。どうせ2年間使うなら絶対カメラは綺麗な方が良い。たった5,000円上乗せするだけで2年間の満足度が大幅に変わるならMi 11T ProではなくPixel 6を購入したい。だからMi 11T Proは微妙。
Pixel 6が無ければ状況は全く違ったはず。でもPixelは存在するし、なぜか今年だけコスパが狂ってる。
Mi 11T Proは悪くない。Pixelが強すぎた。それがMi 11T Proの敗因。
安さに拘る人ならあり、かも?
とはいえPixelにはTensorCPUという最大の弱点もあるから一筋縄にもいかない。Pixel 6はCPUが新しいから既存のアプリとの相性がまだ不透明なんだ。だからゲームとかを快適にプレイできるかは不明。プレイできないアプリもあるかもしれない。
ということでゲームをプレイしたい人、120W充電を試したい人、なにより安さに拘りたい人はMi 11T Proを選ぶのはあり。俺なら5,000円上乗せしてPixel 6を選ぶ。
Pixel 6と基本性能が同じPixel 6 Proのレビュー記事は下記。
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