ASUSのフラッグシップスマホとなるZenFoneシリーズの第8弾、ZenFone8を購入したからレビューする。
今回のZenFone8は過去にないコンパクトなサイズ感とかおサイフ対応とか120Hzとか色々進化点が多いからそれが果たしてよかったのか悪かったのかを確認してほしい。
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【結論】ZenFone 8バッテリー持たなすぎ
まず最初に結論からにはなるけどZenFone 8は5.9インチのディスプレイにSnapdragon888とリフレッシュレート120Hzという超ハイスペックを詰め込んでしまったが故に過去最高にバッテリーが持たないスマホに仕上がった。だからゴミという結論。
どう転んでもバッテリーが持たないスマホはバッテリーが持たないスマホでしかない。だから実用性が無い。スマホとしての価値もない。
もちろん頻繁に充電できる人とか、バッテリー以上にサイズ感に拘りたい人であれば買えば良いと思うけど俺はおすすめしない。ということを念頭に置いて読み進めていってほしい。
Zenfone 8の特徴
ZenFone 8の特徴は下記。
- 5.9インチ120Hz有機ELディスプレイ
- おサイフ対応
- IP68防水対応
- Snapdragon888搭載
- 4000mAhバッテリー
- 79,800円~
Zenfoneとしては初のおサイフ防水対応スマホになるだけでなく、5.9インチのコンパクトハイエンドという異端スマホに仕上げてきた。
ライバルは同じくコンパクトなiPhone13、AQUOS、Pixelシリーズ辺りになる。それでいて価格は79,800円とハイエンドスマホとしては安くて良心的。
ZenFone 8の詳細なスペック
Zenfone 8の詳細なスペックは下記。参考に同時発売のZenfone 8 Flipと比較する。
Zenfone8 | Zenfone 8 Flip | |
ディスプレイ | 5.9(120Hz有機EL) | 6.67(90Hz有機EL) |
解像度 | 2400x1080 | 2400x1080 |
CPU | Snapdragon888 | Snapdragon888 |
メモリ | 8/16 | 8 |
ストレージ | 128/256 | 128/256 |
バッテリー | 4000 | 5000 |
セキュリティ | 指紋/顔 | 指紋/顔 |
おサイフ | 〇 | × |
防水 | IP68 | × |
デュアルSIM | 〇 | ○(DSDV) |
重量 | 169 | 230 |
サイズ | 68.5x148x8.9 | 77.2x165x9.6 |
価格(税込) | 79800~ | 86,800~ |
ZenFone8はそのサイズ感以外は正真正銘のハイエンドスマホで非の打ちどころがない。おサイフ防水デュアルSIMでまさに全部入りの夢のスマホなんだ。
Snapdragon888/8ギガメモリ
ZenFone 8は現在のAndroid最強CPUであるSnapdragon888を搭載する。その最強さは余りにも処理能力が高すぎてもはや使い道が無いほど。
ZenFone8を使っていてストレスを感じることはないはず。その分バッテリー消費が大きいことが凶と出てしまった。
ZenFone 8はAntutuベンチマーク79万点
実際にZenFone 8をAntutuベンチマークで計測した結果は793557点だった。
過去のガジェマガの計測結果と比較すると下記で最強。
- Zenfone 8 793557(Snapdragon888)
- Find X3 Pro 747175(Snapdragon888)
- moto g100 664795(Snapdragon870)
- Galaxy Note20 Ultra 644423(Snapdragon865+)
- realme GT Master Edition 539784(Snapdragon778G)
- Mi 11 Lite 5G 519539(Snapdragon780G)
- Mi 9 500624(Snapdragon855)
- Reno 5A 376881(Snapdragon765G)
- Redmi Note 10 Pro 343568(Snapdragon732G)
- AQUOS sense 4 282575(Snapdragon720G)
しかもこの計測はZenFone 8のパフォーマンスのダイナミック(標準)設定で計測していて、高性能モードなら更にスコアは上がる予定。ただ、繰り返しになるけど使い道は無いから無視する。
ZenFone 8は8時間41分バッテリー
ZenFone 8のバッテリーをPC Mark for Androidで計測した結果、100%から20%になるまでにかかった時間は6時間57分だった(輝度50%、音量50%、120Hz)
つまり0%までは8時間41分しか持たない計算になる。過去のガジェマガの計測結果と比較すると下記。
- AQUOS sense 4 20時間58分バッテリー
- iPhone11 20時間(Youtube計測)
- ZenFone 6 18時間20分
- iPhone12 18時間8分(Youtube計測)
- moto g100 17時間59分(90Hz)
- Redmi Note 10 Pro 16時間57分(60Hz)
- ROG Phone II 15時間21分(120Hz)
- ZenFone 7 Pro 14時間31分(90Hz)
- Mi Note 10 14時間27分以上(Youtube計測)
- Mi 9T 14時間27分
- UMIDIGI S3 Pro 13時間45分
- iQOO Neo 3 13時間9分(144Hz)
- Redmi Note 10 Pro 12時間12分(120Hz)
- OPPO Reno A 12時間3分以上(Youtube計測)
- Mi 9 12時間3分
- Mate 20 Pro 11時間21分
- Mi 11 Lite 5G 11時間19分(90Hz)
- realme GT Master Edition 11時間3分(120Hz)
- Find X3 Pro 10時間31分(120Hz)
- OnePlus 8 Pro 10時間31分(120Hz)
- 新型iPhoneSE 10時間(Youtube計測)
- UMIDIGI S5 Pro 9時間45分
- Galaxy Note20 Ultra 9時間35分
- Mi 10 9時間29分
- ZenFone 8 6時間57分(120Hz)
- Alldcube M8 4時間47分
過去に計測した結果と比較してもスマホのなかではぶっちぎりの最下位でありえないレベル。マジで一日持つか不安だし二日なんて絶対に無理。
値段は安いし全部入りでコスパは素晴らしいんだけど失う物が大きすぎる。
4000mAh/169グラム
ZenFone 8はバッテリーは持たないけどそれでもバッテリー容量は4000mAhもあって別に少なくはない。つまりSnapdragon888と120Hzのバッテリー消費がえげつない。
ちなみに4000mAhを168グラムに収めたのは普通に凄い。バッテリーが持てば化けたことを思うと惜しい。
ZenFone 8の質感が高いボディ
毎度おなじみではあるけどASUSはスマホとパソコンの老舗メーカーで、特にそのボディの質感は妥協が無いことで有名。ZenFone 8も細部まで質感が高い。
背面はアルミっぽい金属っぽいすりガラス製。さらさらとした質感で手に優しい。
上部には標準、広角のデュアルカメラとその右側にかなりわかりにくいけどFelicaのマークを備える。
底面には左からスピーカー、Type-C端子、マイク、SIMスロットを備える。
SIMスロットは裏表に2枚入れられるタイプのデュアル式でMicroSDカードは入れられない。
上面はノイズキャンセリングマイクとイヤホンジャックを備える。
イヤホンジャックがあってもちゃんと防水だから安心してほしい。
左側面にはなにも無しで、
右側面には電源ボタンと音量ボタンを備える。
正面は5.9インチの120Hz有機ELディスプレイが広がる。画質は良い。
ディスプレイの上部には受話口兼サブスピーカーとパンチホールのフロントカメラを搭載する。
有機ELディスプレイは発色が良く明確に白を白として表示する傾向。
iPhoneとかGalaxy Note20 Ultraは環境に合わせて見やすいようにオレンジ色を付け加えたりするんだけどZenFone 8にその機能は無い。
もちろん有機ELディスプレイだから視野角も広い。
Galaxy Note20 Ultraが青すぎるのが謎。フィルムの関係か何かかもしれないけど原因は不明。
上下で再生されるデュアルスピーカーの音質は良好。iPhoneと比べると広がりは少な目だけどボーカルが強調されていて聞き取りやすい。
ZenFone 8の絶妙なサイズ感
ZenFone 8が他のスマホと違いのは5.9インチというその絶妙なサイズ感で、これがZenFone 8の強みでも弱みでもある。
というのもやっぱりコンパクトなスマホは持ちやすい。ZenFone 8は最近のスマホとしては168グラムと軽いし、
5.9インチディスプレイというだけあってボディサイズも明確に小さい。
左から6.1インチiPhone 13 Pro、5.9インチZenFone8、6.9インチGalaxy Note20 Ultraで、縦幅はiPhone 13 Proと同じだし、横幅はiPhone 13 Proよりも微妙に短い。
つまり持ちやすい。実際に手に持っても絶妙なサイズで確かに持ちやすい(2回目)。
このサイズ感は嬉しいんだけど、果たして1画面に表示される情報量とバッテリー持ちを犠牲にしてまで実現したいかと問われると疑問。
電池が切れたスマホはおもりにしかならないから電池切れだけは絶対に避けないといけない。それなのに8時間41分しかバッテリーが持たないのは心もとなさすぎる。
それならもう少しでかくて重くてもバッテリーが持つスマホを使いたい。ZenFone 8は挑戦的なスマホではあるんだけど、少し早すぎた印象。
ZenFone 8のカメラは可もなく不可もなく
ということなのでもう逆転要素は無い。ZenFone 8はバッテリーが持たないからダメ。この一点に尽きるんだけど、せっかくカメラの撮影テストも行ったから最新のASUSスマホがどんな感じで撮影できるのかを確認していきたい。
ZenFone 8のカメラ構成は下記。
- 6400万画素標準カメラ
- 1200万画素超広角カメラ
写真はいつも通り俺がカメラのために使い続けているメインスマホGalaxy Note20 Ultraと比較する。
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全てAI補正オンのjpeg撮って出しで比較する。
標準カメラ晴天写真比較
Galaxy Note20 Ultraが空の着色ありで好印象な写りなのに対してZenFone8は自然というよりはどんよりめ。全体的に色合いが暗く彩度低めに写した。
街中の写真はほぼ違いは無し。
明暗差が大きい写真。Galaxy Note20 Ultraがバランス型なのに対してZenFone8は若干オーバー気味。木々は明るく撮れているけど下の方の街中が白い。その割に空はどんよりしてる。
超広角カメラ晴天写真比較
超広角カメラも傾向は同じ。ZenFone8は空がどんよりして見える。写真において空を青く着色することがいかに重要かがわかる好例。
空色以外は同じ。
明暗差の大きい写真。広角カメラは打って変わってバランスが良く空の色以外はGalaxy Note20 Ultraと互角の写りだった。
標準カメラ夜景写真比較
夜空の写真。両方ともオーバー気味で酷い。ノイズが少なく輪郭がより多く残ってるのはGalaxy Note20 Ultra。
Galaxyが若干オーバー気味。ZenFone8は丁度いい。それでもノイズはGalaxyの方が少なめ。
夜空の写真。両方ともオーバー気味で酷いけどZenFone 8は更にダイナミックレンジが狭く看板が白飛び気味。代々木駅の看板が読めない。
ZenFone8カメラ総評
ZenFone8のカメラは可もなく不可もなく。Galaxy Note20 Ultraほど良いわけでもなければミドルハイエンドスマホほど悪いわけでもない。
空の色合いは微妙だしダイナミックレンジが広いわけでもないんだけど、かといって狭いということもなく普通。
カメラのために買うと後悔するけどカメラに期待していなければ予想を上回る。強みにも弱みにもならず掴みどころのないカメラだった。良くも悪くも値段なり。
ZenFone 8の動画手振れ補正はiPhone並
掴みどころのない写真とは打って変わってZenFone 8の動画撮影機能はiPhone並ですごい。少なくとも俺が今までテストしたどのAndroid端末より手振れ補正が自然で滑らか。GalaxyシリーズとかXiaomiシリーズを余裕で上回っている。
実際にiPhone12と手振れ補正を比較した動画が下記。
ZenFone 8はカメラではなく動画をもっとアピールするべきだと思う。この手振れ補正の精度は毎度ながら意外過ぎて面食らう。
ZenFone 8は付加価値ほぼ全部入り
そもそもバッテリーがダメだから全てダメって結論は変わらないんだけど、ZenFone8は地味に付加価値がほぼ全部入りの数少ないハイエンドスマホだったりする。具体的には下記。
- おサイフ
- IP68防水
- 物理デュアルSIM
- ツインアプリ
唯一無線充電に対応していないけど、これだけの条件を兼ね備えるスマホは希少。しかもスペックましましのハイエンドスマホ。
これがたったの79,800円で購入できるのはかなりお買い得。のはずだった。
全てがハイレベル。バッテリーがゴミ
結論としては最初から何度も言っているようにバッテリーがゴミ。だからダメ。それ以外の要素は値段も加味するとかなり良いんだけど電池持ちが全てを覆した。
繰り返しになるけどバッテリーが持たないスマホはバッテリーが持たないスマホでしかない。どんな機能も電池ありき。電池が無くなったスマホはただのおもりにしかならない。
その意味でスマホのバッテリーは最重要ではないにせよ最低限は絶対必要。そしてZenFone8は俺が思う最低限を遥かに下回った。だからおすすめはしない。
ZenFone 8をおすすめできる人
120Hzを60Hzにすれば2時間程度はバッテリーが持ちが良くなるとは思うからまだギリギリ許容範囲内。どうしても8万円でおサイフデュアルシムハイエンドが欲しいという人なら60Hzで使う前提でZenFone8を選ぶのはあり。
それかバッテリーを頻繁に充電できる人とかサイズ感に死ぬほど拘る人なら買えばいい。
いずれにせよ今は時代が悪い。ZenFone8はハイエンドをコンパクトに詰め込む人類の夢を2021年に実現すると破綻するという壮大な実験だった。挑戦してくれたASUSに感謝。
バッテリー以外は全体的に手堅く欠点らしい欠点もないからZenFoneの次回作に期待したい。