毎年秋の風物詩となりつつある最新型のiPhone12が今年も発売された。今回のiPhone12シリーズは4モデルもあってどれを購入するか迷うんだけど、とりあえず俺は最もベーシックで売れるであろうiPhone12を購入したからレビューしたい。
この他にもうすぐ発売となるiPhone12 Pro Maxの購入を迷っているところではあるんだけど、iPhone12とほとんど一緒だからモチベは低め。凄そうなら買う。多分買わない。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
iPhone12の特徴
iPhone12の特徴は下記。
- 最強CPU A14チップ搭載
- 6.1インチフルHD+有機ELディスプレイ
- 高画質カメラ
- 最強の動画手振れ補正
- 無線充電、IP68耐水、おサイフ対応
- 超軽量162グラム
- SIMフリー
- 税込み94,380円~
特筆すべきはその軽さで、6.1インチディスプレイでありながらたったの162グラムでしかも省電力性が向上したことでバッテリー持ちはiPhone11とほぼ変わっていないんだとか。
その他無線充電マグネットのMagSafeが新しく搭載されてはいるけど評判は微妙。無線充電器がくっついたところでって話。それよりもMagSafeのマグネットを活かした今後の新しいアクセサリの登場に期待したい。
iPhone12のスペック
一番気になるのはiPhone11を持っている人が買い替えるべきかどうかというところだと思うから、iPhone12のスペックをiPhone11と比較する。
iPhone 12 | iPhone11 | |
ディスプレイ | 6.1(有機EL) | 6.1 |
解像度 | 2532x1170 | 1792x828 |
CPU | A14 | Apple A13 |
メモリ | 4 | 4 |
ストレージ | 64/128/256 | 64/128/256 |
バッテリー | 17 | 17 |
セキュリティ | 顔 | 顔 |
おサイフ | ○ | ○ |
防水 | IP68 | IP68 |
デュアルSIM | △(eSIM) | △(eSIM) |
重量 | 162 | 194 |
価格 | 94,380~ | 71,280~ |
iPhone11から進化したのはディスプレイの有機EL化、画面解像度、処理能力、重量の4点。一方でiPhone11はiPhone12の発売に伴って価格が1万円値下げされて更にコスパが良くなった。
ということで目下の課題はiPhone11、iPhone12のどちらを買うべきか、また、既にiPhone11を保有している人はiPhone12に乗り換える価値があるのかということになる。
iPhone12はAntutu56万点
iPhone12のAntutuベンチマークスコアは56万点だった。過去のガジェマガの計測結果と比較すると下記。
- ZenFone 7 Pro 637099(Snapdragon865+)
- Galaxy Note20 Ultra 610047(Snapdragon865+)
- iQOO Neo 3 595801(Snapdragon865)
- OnePlus 8 Pro 575059(Snapdragon865)
- Mi 10 574721(Snapdragon865)
- iPhone12 560751(Apple A14)
- iPhone11 508410(Apple A13)
- ROG Phone 2 487983(Snapdragon855+)
- Mi 9 431470(Snapdragon855)
- iPhoneSE 430946(Apple A13)
- Mate 20 Pro 355915(Kirin980)
- UMIDIGI S5 Pro 291584(Helio G90T)
- Mi Note 10 254844(Snapdragon730G)
- Mi 9T 254457(Snapdragon730)
- Redmi Note 9S 253459(Snapdragon720G)
- OPPO Reno A 192793(Snapdragon710)
メモリ容量が多いiPhone12 Proだと60万点前後になるらしいけど、iPhone12は56万点とSnapdragon865よりも若干劣る程度の性能だった。
ただ、2回連続で計測しても54万点とスコアの下落は少なく、iPhone11と違ってかなり熱には強くなってるっぽい。
iPhone12はストレージテスト3.3万点
iPhone12のストレージテストの計測結果は3.3万点だった。
- ZenFone 7 Pro 57733
- Galaxy Note20 Ultra 50759
- OnePlus 8 Pro 49778
- iPhone12 33854
- Mate 20 Pro 25491
- iPhone11 17582
- UMIDIGI S5 Pro 16893
- Mi 9 16323
- iPad Air 2 3015
この数値がスマホの動作にどう影響してるかは不明。今後計測するのやめる。
そもそもiPhoneは外部ストレージとして使うこともできないから読み書き速度が役に立つことは無さそう。
iPhone12は18時間8分バッテリー(適正値とは言えない)
iPhone12はAndroidと違ってバッテリー計測アプリが無いから計測が難しいんだけど、ZenFone 7 Proと同じ環境で1時間動画撮影を行った結果、ZenFone 7 Proが残75%だったのに対して、iPhone12は残80%だった。(明るさ50%)
これを元にiPhone12のバッテリーを計測すると0%までは22時間40分持つことになる。過去のガジェマガの計測結果と比較すると下記(数値は0.8がけ)
- Redmi Note 9S 22.8時間(Youtube計測)
- iPhone11 20時間(Youtube計測)
- ZenFone 6 18時間20分
iPhone12 18時間8分(適正値とは言えない)- ROG Phone II 15時間21分(120Hz)
- ZenFone 7 Pro 14時間31分(90Hz)
- Mi Note 10 14時間27分以上(Youtube計測)
- Mi 9T 14時間27分
- UMIDIGI S3 Pro 13時間45分
- iQOO Neo 3 13時間9分(144Hz)
- OPPO Reno A 12時間3分以上(Youtube計測)
- Mi 9 12時間3分
- Mate 20 Pro 11時間21分
- OnePlus 8 Pro 10時間31分(120Hz)
- 新型iPhoneSE 10時間(Youtube計測)
- UMIDIGI S5 Pro 9時間45分
- Galaxy Note20 Ultra 9時間35分
- Mi 10 9時間29分
- Alldcube M8 4時間47分
どこまでこの数値が正しいかは不明。ただ、バッテリーの持ちが良いことは間違いなさそうだった。
ちなみにiPhone11とiPhone12で1時間動画撮影を続けたバッテリーの減りは
iPhone12が81%、iPhone11が85%だった。結構違う。
iPhone12は162グラム
iPhone12の重量は公称値の通り162グラムだった。この軽さは6.1インチスマホとしては驚異的。
6インチで151グラムのPixel 5も驚異的だけど、iPhone12はハイエンドスマホでこの重量でしかもバッテリー持ちも良いんだからすごい。
iPhone12のスタイリッシュな外観
今回俺に関しては写真と実物が違うと物議をかもしている青色を購入したんだけど、iPhone12のデザインはiPhone5までの角ばったスタイリッシュなデザインに戻った。
背面のカメラはiPhone12と同じデュアル仕様で標準カメラと広角カメラの構成も同じ。
上面にはノイズキャンセリングマイクがあるのみで
右側面にはいつも通り電源ボタンのみ。
底面にはスピーカー、呪われたLightning端子、マイクを搭載する。
左側面には音量ボタンとマナー切り替えスイッチ
シングルタイプのSIMカードスロットを備える。
というかデザインが角ばった以外は全てが全く同じ。代り映えのしない安心感が迎えてくれる。
前面はiPhone11と同じ6.1インチのディスプレイでこれも見慣れた光景。
前面上部のノッチには顔認証を爆速でこなすための多数のセンサーを搭載する。
あと画面上部のマイクは受話口とスピーカーの役割を兼ね備えるデュアル仕様で、音質もいつも通り良い。
気になるのはそのサイズ感なんだけど、左からiPhone11、iPhone12、ZenFone7、Galaxy Note20 Ultraを並べるとこんな感じ。
いつの間にかiPhone12はもうコンパクトスマホになってしまっていた。
面白いのはディスプレイサイズが同じiPhone11よりもiPhone12の方が一回り小さいことで、
前面から見てもベゼルがより狭く、スタイリッシュになった。(右がiPhone12)
注目したいのは有機ELディスプレイになったことでどれくらいディスプレイが綺麗になったかなんだけど、iPhone11は液晶ディスプレイの癖にやたら視野角が広く綺麗だったから、iPhone12で有機ELディスプレイになった恩恵を全く感じない。
違いは精々画面解像度が上がった程度だけど、それも目視では確認できない。iPhone11の方がちょっと黄色味が強い程度しか差がなかった。
iPhone12からMagSafeに対応していて専用の無線充電器を購入することでくっつく仕様なんだけどその必要があるかは不明。普通に置くだけ充電で良い気がしてる。
ちなみにiPhone12側で冷蔵庫にくっつくほどの磁力はない。あくまで充電器側の磁力と組み合わせることでやっとくっつく程度。
iPhone12の安定感のあるカメラ画質
ここからはiPhone12のカメラ画質を検証していく。iPhoneといえばカメラ、カメラと言えばiPhoneだから期待せずにはいられない。
iPhone12のカメラはiPhone11と全く同じ構成で下記。
- 27ミリ標準カメラ
- 14ミリ広角カメラ
更にiPhone12から広角カメラでもナイトモードを使えるようになって夜景に強くなった。
ということでここからはiPhone11、iPhone12と俺のメインスマホGalaxy Note20 Ultraの作例を順に比較していく。
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撮影設定はカメラを向けてシャッターを押すだけの撮って出し。ナイトモードも使わない。
標準カメラ晴天写真比較
まずは標準カメラの晴天写真を比較していく。
iPhone11とiPhone12はほぼ同じ。Galaxy Note20 Ultraはコントラストが高くやや色鮮やかに仕上げた。
これもiPhone11とiPhone12は同じ。Galaxyはちょっとだけ全体的に明るく、空の白飛びが少なくなった。
笑っちゃうくらいに同じ。
広角カメラ晴天写真比較
ここからは広角カメラの晴天写真を比較する。iPhone11もiPhone12もGalaxy Note20 Ultraも全て14ミリで一般的なスマホの16ミリより画角が広いのが特徴。
iPhone12の方が若干かぼちゃの色が明るい気はするけど同じ。全然差が出ない。Galaxy Note20 Ultraはちょっとコントラストが高い程度で同じ。
iPhone11とiPhone12は同じ。Galaxy Note20 Ultraは右側の木々が鮮明、な気がする程度。あとやっぱり空の白飛びは少ない。
これも同じ…
標準カメラ夜景写真比較
ここからは標準カメラの夜景写真を比較する。そろそろ差が出てほしい。
iPhone12が一番明るくて鮮明な写真が撮れてる気がする。シャープが強めで草木のメリハリが強調されているように感じる。
iPhone12が一番明るくノイズが少なく鮮明な写りに見える。一番好印象に見えるのはiPhone12。GalaxyはiPhone11と同等。
難しい夜空の写真はiPhone12が一番バランスよく写した。ただ、iPhoneは11、12ともに光源のゴーストが出過ぎてる感がある。Galaxyは白飛びはしてないけど全体的に明るすぎる。
広角カメラ夜景写真比較
最後に広角カメラの夜景写真を比較する。
iPhone12の広角カメラは大幅に進化していて、より明るく、鮮明にとれるようになった。右側通路のレンガ模様を見比べると、iPhone11、iPhone12、Galaxy Note20 Ultraの順番で奥まで見えるのが面白い。ただ、iPhone12はちょっと緑色が強すぎる気がする。
Galaxy Note20 Ultraが最も明るく、解像感が高い。iPhone11とiPhone12はほぼ同じ。
ほぼ同じ。iPhone12はちょっと緑色が強すぎる印象。
iPhone12カメラ総合評価
iPhone12は標準、広角カメラともに明るさ、色合いが安定していてGalaxy Note20 Ultraとも善戦するレベルの高いカメラだった。なにも考えずに撮影してもそれなりの写真が撮れるのはさすがiPhoneという感じで、スマホ市場でトップクラスのカメラ性能だと言ってしまっていいと思う。
iPhone12のセンサーサイズは小さいんだけど、画素数を1200万画素に留めているのが賢い。最近のスマホはセンサーサイズ以上に画素数を上げてしまってるせいで画質が全然向上していないうえに、ファイルサイズばかりが重くなっていて本末転倒。
スマホで撮る写真なんてスマホでしかみないよね?という前提で作りこむアップルのユーザーフレンドリーな姿勢は相変わらず流石だった。
一方で、iPhone11との差は色味と微妙な明るさ程度で、比べないと違いがわからない。iPhone11ユーザーがiPhone12に乗り換えてもカメラ画質の違いを感じることはほぼないと思う。iPhone11の段階で十分レベルは高い。
iPhone11とiPhone12は動画性能も同じ
後日Youtubeレビュー動画の際に比較する予定なんだけど、iPhone11とiPhone12は動画性能もほぼ同じ。
両方ともにスマホ市場最高レベルの手振れ補正を搭載していて、最高に使いやすいVlogカメラに仕上がっている。
iPhone12は付加価値もりもり
iPhone12の魅力はその性能、カメラ以上に付加価値がもりもりなところなんだ。実際にiPhone12に搭載されている付加価値は下記。
- デュアルSIM(eSIM限定)
- IP68耐水
- おサイフ
- SIMフリー
今現在SIMフリー市場でこれだけの付加価値を搭載しているハイエンドスマホの選択肢はiPhoneとXperiaしかないのが現状。
iPhoneはeSIM限定が残念
ただ、iPhone12のデュアルSIMはeSIM限定だからエリアが狭い楽天UN-LimitまたはiiJmioのデータ専用プランしか選択肢が無いのが惜しい。対してXperia1 IIは値段が高い代わりに物理のデュアルSIMに対応する。
日進月歩で進化するiOSの完成度
あと賛否両論あるiPhoneのiOSなんだけど、地味に進化しまくっててビビってる。
もちろんロック解除してからスライドするのがダルかったり、文字入力のカーソル移動ボタンが無かったりとまだまだ癖はあるんだけど、例えばホワイトポイントを選択することで画面の最低輝度を更に暗く調整できたり、
文字の読み上げをしてくれたりとiOSにしかないユーザーサポート機能も多くて、日進月歩で完成度を高めまくってる。
相変わらず外部ストレージとかツインアプリに対応していないとかの制限があるから俺は使わないけど、多くの人が求める痒いところに手が届く機能はiPhoneの方が優れていて、アップルは最大公約数を狙うのがうまいなぁという印象だった。
iPhone12のライバルはiPhone11
さて今回のiPhone12の問題はiPhone11と差別化できていなさすぎるところなんだ。iPhone12は全体的にケチのつけようがなくて素晴らしいスマホなのは間違いないけど、一方で同じくらい完成度が高いiPhone11が1万円値下げしてしまったことでiPhone12との価格差は2万円になった。
iPhone12と11は違いが少なすぎる
確かにiPhone12は全体的に微妙にiPhone11を上回っているんだけど体感できない。
両方とも処理能力は十分だし、カメラ、動画画質、音質もほぼ互角。強みとなるはずだった有機ELとか高い画面解像度もiPhone11の段階で綺麗すぎて視認できないレベル。更に付加価値は今のところ使い道のないMagSafe以外は同じ。
-30グラム vs -2万円長時間バッテリー
唯一体感できる違いがあるとすればiPhone12の軽さとiPhone11のバッテリー持ち、そして2万円の価格差のみ。30グラムの軽さを取るか2万円安い長時間バッテリーを取るかなら俺は後者を選ぶ。
ゲーマーにはiPhone12がおすすめ
唯一大きな違いがあるとすれば熱に対する耐性で、長時間快適にゲームをプレイしたいなら2万円上乗せしてiPhone12を選ぶ価値はあると思う。あとは絶対に軽さに拘りたい人。
逆にゲームはしない、動画編集もパソコンでやる。というのであればiPhone11で十分。という感じで、アップルとしては珍しく自社で競合する製品を発売してしまった印象で、スマホ市場の成熟と迷走を感じる結果になった。