ちまたで賛否両論あるスマホのノッチについて俺は賛成派だ。
今回はスマホのノッチが果たす役割とそのメリットデメリット、そしてiPhoneが恐らく今後もノッチを採用し続けるであろう理由を解説する。
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スマホのノッチとは
ノッチとはスマホの画面上部にあるくぼみのこと。
ノッチの歴史は意外に浅くて、初登場は2017年に発売されたiPhoneXから。そこから各社がこぞってiPhoneを追従してノッチスマホを発売し始めた。
厳密にはiPhoneXの前にEssentioal PhoneとかAQUOS R2もノッチを採用していたんだけど認知されたのはiPhoneが採用してから。
ノッチにあるもの
そもそもなぜノッチがあるのかという話になるんだけど、一般的にノッチ部分に搭載されているスマホのギミックは下記。
- 受話口
- フロントカメラ
- 環境光センサー
- 近接センサー
受話口
電話時に使う聞き取り用のスピーカー、ステレオスピーカーの片側として機能するものもある。
フロントカメラ
自撮りや顔認証で使われるカメラ。
環境光センサー
周囲の明るさに併せてスマホの画面の明るさを自動的に調節するための調光センサー
近接センサー
顔等の接近を検知するセンサー。電話時とかにスマホを耳にあてた時に頬で誤操作をしないように画面をオフにする役割を果たす。
フロントカメラを解決するノッチ
上でノッチ内に搭載されているギミックを解説したんだけど、この中で最もサイズが大きいのがフロントカメラなんだ。
受話口とか環境光センサー、近接センサーはサイズが小さいから最悪画面の端に追いやることができるんだけど、フロントカメラだけはどうにもならない。
逆にフロントカメラさえなければノッチを廃止できる。ということで各社工夫を凝らして現在は様々なディスプレイ形状のスマホを発売している。
- ワイドディスプレイ
- ティア―ノッチ
- パンチホールディスプレイ
- フルディスプレイ
ワイドディスプレイ
16:9よりも縦に長いディスプレイ。ディスプレイは縦に長いけどまだ上下にスペースはあるからそこにフロントカメラとかを収納できる。
ノッチが無いから違和感が無いけど、スマホの前面に対してディスプレイ占有率が低い。
最近のスマホだとPixel4とかが採用してるけどスペースが無駄になるからほとんど見かけない。
ティア―ノッチ
フロントカメラのためだけにノッチを残したわかりやすい割り切り方のスマホ。
涙のしずくのような形だからティア―ノッチと呼ばれてる。多分。
Mi 9とか他多数のAndroidスマホが採用している。
パンチホールディスプレイ
ノッチを廃した代わりにフロントカメラ部分が独立してディスプレイに存在する形状。Galaxy s10シリーズなどが採用している。
フルディスプレイ
全画面ディスプレイを実現するためにフロントカメラを完全に収納したスマホ。フロントカメラが無いからディスプレイがすっきりしてる。
格納式のフロントカメラを搭載するのが一般的だから落下時の故障が怖い。ZenFone 6やOPPO Reno 10xがこれに該当する。
ノッチスマホのメリット
今のAndroidスマホのほとんどがノッチを採用するのはスマホの前面を最大限に活用できるメリットがあるからなんだ。
ノッチはスマホ前面の無駄を減らせる
例えばノッチを採用しているスマホと採用していないスマホを並べたものが下記。
真ん中のノッチスマホが画面の上部をほぼ目一杯ディスプレイとして活用できているのに対して、両隣のワイドディスプレイスマホは上部のスペースが無駄になっている。
同じ本体サイズでもより大きなディスプレイを搭載できるのがノッチのメリットだ。
ノッチスマホのデメリット
俺はノッチ肯定派ではあるんだけど、ノッチはノッチそのものが画面を占有するからそれ自体がデメリットになる。無くせるものなら無くしてほしいというのが正直なところ。
ノッチは見た目がダサい
ノッチスマホと新しく登場したフルディスプレイスマホを比較したものが下記。
ノッチはフルディスプレイと比較するとすっきり感が劣るしノッチのくぼみが気になる。
スマホのディスプレイに謎のくぼみがあるのは見慣れるまでは違和感しかなかったし、今も一部の人に忌み嫌われ続けている。
ノッチかフルディスプレイなら当然フルディスプレイの方が良い。
全画面が使えないから臨場感が下がる
ノッチはスマホの上部を占有する分全画面を使うゲームとかでは表示スペースが狭くなる。
ノッチありスマホでゲームをプレイするとこんな感じでノッチ部分がカットされる。
これに対して、ノッチ無しのフルディスプレイスマホなら画面目一杯に表示できる。
作業性はノッチもフルディスプレイも変わらない
逆に言うとゲームプレイなどで全画面を使わない限りノッチもフルディスプレイも作業性は変わらない。
ノッチスマホは一見ノッチ部分がディスプレイを占有しているように見えるんだけど、
ブラウジング時のスクリーンショットはこんな感じ。
写真は4:3比率が一般的だからこうなるし
動画は16:9比率が一般的だからこうなる。
つまり、全画面ディスプレイを活用するゲームプレイでもしない限りノッチもフルディスプレイも作業性は全く変わらない。
しかもゲームプレイも没入感が変わるだけで夢中になればほぼ一緒。
フルディスプレイスマホのデメリット
逆にフルディスプレイスマホはノッチと比較してほとんどメリットが無いのにデメリットは大きい。
フルディスプレイスマホは水に弱い
フルディスプレイスマホは格納式カメラを搭載する複雑な構造上水に弱い。今のところ耐水に対応したフルディスプレイスマホは存在しない。
逆にノッチスマホはハイエンドモデルであればその多くが防水に対応している。
フルディスプレイスマホは落下時の故障リスクが高い
フルディスプレイスマホは格納式カメラを採用している関係から落下リスクが大きい。
可動部のフロントカメラが地面に直撃したら終わり。
一応フルディスプレイスマホはその多くが落下を検知するとカメラを自動収納するようにできているんだけど、カメラが収納されるより落下する方が早いからこれも微妙。
フルディスプレイ化の恩恵は少ない
フルディスプレイは見た目が良くなる半面、強度と防水性能を犠牲にせざるを得ず、デメリットが大きい。
iPhoneがノッチを採用し続ける理由
ところでノッチの元祖となるiPhoneがノッチを採用してから既に3世代が発売されていて、新しいiPhoneが発表されるたびに「iPhoneはいつノッチを廃止するのか」という声が上がるんだけど、俺はiPhoneはノッチを廃止しないと思ってる。
iPhoneがノッチを採用しつづけるのは、Appleがフルディスプレイの採用に合理性が無いと判断しているからなんだ。
繰り返しになるけど、フルディスプレイの採用は得るものが少ないわりに失うものが大きい。
iPhoneは顔認証の精度が抜群に高い
逆にiPhoneはノッチにパラメータを全振りして顔認証の精度を高めることで指紋認証を廃止してしまった。
iPhoneは顔認証の精度を高めるためにこれだけのセンサー類をノッチに搭載している。
このうち顔認証に使われているセンサーは
- 赤外線カメラ
- 投光イルミネータ
- 近接センサー
- ドットプロジェクター
の4つ。なんとiPhoneは顔認証にフロントカメラを使わない。
Androidはフロントカメラで顔を認識するだけのなんちゃって顔認証スマホが多いのに対して、iPhoneの顔認証はガチ。暗闇でも一瞬でばっちりと認証できる。
ノッチの廃止に合理性がないのであればノッチを最大限活かすことで利便性を向上させようというのがAppleの判断だ。
画面内指紋認証はスピード感がまだイマイチだし、実際に使うと画面内指紋認証より顔認証の方が遥かに楽。
ということで俺はAppleが技術を顔認証に全振りするこの方針は間違っていないと思う。
iPhoneはノッチを隠す配慮があるべき
ただ、それならせめてノッチを隠す機能は搭載してもよかったんじゃないか。
多くのAndroidは設定でノッチを表示するか隠すかを選べるようになっていて、ノッチを隠すことでノッチ特有のくぼみが視覚的に気にならなくなる。
この機能を実装すればいいだけなのになぜかAppleはやらない。
ノッチを愛してこそのiPhoneユーザーなのかもしれないけど、ユーザーに選択肢を与えないところはさすがのAppleという感じだった。
ノッチは将来的になくなるかも
現状のスマホのセキュリティは顔認証か画面内指紋認証が一般的で、物理指紋センサーはボディの構造をシンプルにするため廃止する流れが進んでいる。
ただ、この画面内指紋認証が曲者で、今のところはまだ一瞬待たされるし精度も完ぺきじゃない。
これがAppleが指紋認証を廃止した理由なんだろうけど、画面内指紋認証は日々改善が進んでいるのも事実。
画面内指紋認証の精度が更に高くなればiPhoneからノッチが消える日が来るのかもしれない。