プロフィールにも書いているけど俺は元国家Ⅱ種(一般職)公務員で、大学卒業後に霞ヶ関の本省に入省した。
本省に入省してから2年後に退職、その後大阪で自由人になってから、東京の民間企業2社で営業職勤務を経てブロガーになった。
今回は本省国家一般職公務員を退職した側の視点から、本省国家公務員ひいては公務員全体が世間が思うほど良いものじゃない理由と民間企業との違いを解説する。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
公務員を志した理由は楽だから
俺が公務員を志したのは民間の就活より勉強する方が楽だと思ったからなんだ。馬鹿なこと言うなって話だけど本当。
当時アホな大学生だった俺は知識が少ないが故に人生で興味を持てる分野が超少なかった。今思うとやっぱり広く浅い知識って大切だと思う。
それはさておきアホ過ぎた俺には民間企業での就職活動が地獄に写った。どこから手を付けていいかわからないし、そもそも民間企業を知らないし、その民間企業で働きたいと思う理由も無い。
それを考えるのも嫌だった。
公務員試験はとりあえず勉強すればOK
公務員は民間企業と比べると大学受験に似てシンプルで、とりあえず勉強すればいい。
試験に合格したら合格した中から自分が行きたい業種を選んで面接対策をするだけ。選択肢も多くて7種類ほどと少ない。
公務員はレールが敷かれている分、民間就活と比べると自分で思考錯誤する領域が少なくて楽。
もちろん勉強量も伊達じゃないんだけど、当時の俺は自分でなにも考えたくなかったから公務員を選んだ。
多分公務員試験を受ける人の半数はこんな感じだと思う。
勉強のコツをまとめた記事は下記。
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公務員試験は応援してもらいやすい
もう一つありがたいのが公務員を目指すと言うと周りが応援してくれることなんだ。なんだかんだ公務員ブランドは強い。
公務員試験は親受けも親戚受けも良いから、嫌な民間就活から逃げる口実としてはうってつけだった。
もちろん公務員に就職してからも親戚に賞賛されて鼻が高いし、民間企業の就活でも職務経歴書の本省勤務は毎回好意的に受け止められた。
やっぱり公務員ブランドは強い。
本省国家一般職を2年で退職
そんな公務員を俺はたったの2年で辞めてしまったんだけど、そこに全く後悔はないというか寧ろ辞めないと俺の人生終わってたなと思ってる。
実際に本省国家一般職公務員として勤務して辛かったことは下記の4点。
- 仕事がつまらない
- 自分でコントロールできない残業が多い
- 部署によって仕事量が大幅に異なる
- 給料が低い
一つ一つ解説していく。
本省国家一般職の仕事はつまらない
晴れて本省国家一般職公務員として就職してからは色々と面食らう。
馬鹿な俺が本省勤務に抱いていたのは日本を支える、日本を変える大きな仕事をするというイメージだったんだけどもちろんそんなことはない。
確かに日本の根幹を支える仕事であることに間違いはないんだけど実態は超地味で、基本的には書類作成、上がってきた書類のチェック、関係部署との連絡がメインで仕事した感が薄い。
こんなの考えれば当たり前なんだけど当時の俺は面食らった。仕事がつまらなさ過ぎる。
自分でコントロールできない残業が多い
本省国家公務員特有だと思うけど、無駄な国会待機による残業が超多い。
国会議員の質問は前日に決まっていて、それに対する省庁側の回答作成も本省職員の仕事になるんだけど、この質問書の作成が遅い。
質問書が来ないと回答を作成できないのに、質問書が来ないから毎日多くの国家公務員が無駄残業を強いられることになる。
このシステムはマジでなんとかすべきだと思うけど、未だに変わってないっぽい。
部署によって仕事量が大幅に異なる
部署によって仕事量が異なるのは民間企業でも同じなんだけど、本省の場合はこの異なり方が異常。
早く帰れる部署はほぼ定時上がりなのに対して、忙しい部署は時期によってはタクシー帰りが当たり前になる。一番遅い時で28時半(4時半)だった。
定時の18時から更に8時間以上残業するから、二人分以上の仕事を一人でこなすことになる。もう一人雇ってほしい。
忙しい部署から逃げられない
しかも最悪なことに、公務員の異動はルート式だから、一度配属された部署には再度配属される可能性が高い。
忙しい部署から異動できたとしても、3年後にまた戻ってきて、昇進してまだ戻ってきてを繰り返すことになる。
最初にババを引いてしまうと今後もババを引き続けないといけない。クソゲー。
本省国家公務員は給料が低い
本省国家公務員は公務員の中では比較的給料が多いんだけど、それでも残業しない時の手取りは18万円ほど。
家賃補助も最高25,000円までと、家賃が高い東京で生活するのはかなり苦しい水準。
もちろんボーナスは約40万円が年2回出るんだけど、それって民間と比べても別に多くはない。
本省国家公務員は時給1500円以下
更に、残業代も満額は出ない。一例として、180時間残業した月の俺の手取りは39万円ほどだった。
額面50万だとしても時給にすると約1,470円。
若い貴重な時間のほとんどをパチンコバイト程度の時給に変えていたことになる。
どう考えてもブラック企業。これを贅沢だと思うなら止めないけど、普通に転職がおすすめ。
新宿を歩きながら退職を決意
俺が目を覚ましたのは家庭の事情で早上がりさせてもらって21時に新宿を歩いている時だった。
今思えば21時でも十分遅いんだけど、当時の俺にとって21時は早上がり同然の天国。
新宿の夜行バス乗り場を目指して歩いているときに感じた街の活気は衝撃的だった。
自分の人生を取り戻したい
俺が霞ヶ関で仕事をしている時間に、一般人はこんなに楽しそうに夜の街を歩いている。
俺は自分の人生を犠牲にして一体何をやっているのか。
このまま今の職場で死んだ顔をして働く人生なんて死んだも同然。そう思って退職を決意した。
本省国家公務員と民間営業職の違い
退職してからは実家の奈良に戻って一年程家電量販店で携帯販売をしたり居酒屋キャッチをしたりの自由を謳歌してからITベンチャーの営業職としてまた東京で就職した。
携帯販売の経験から営業には自信があったんだけど、本省国家一般職公務員からITベンチャーは対極のような環境の変化で、果たして人生初の民間企業に俺が馴染めるかは不安だった。
実際にITベンチャーに入社して感じた本省国家公務員との違いは下記。
- 人が魅力的
- 仕事が面白い
- 風土が自由
一つ一つ解説していく。
民間企業は人が魅力的
本省国家公務員からITベンチャーに転職して感じた一番大きな違いは人の面白さだった。
公務員は職業柄真面目が取り柄みたいな人が多いし、常に世間の目を気にしてるから常識人としてのふるまいを要求される。
ITベンチャーは人のバリエーションが豊富
民間の中でも俺が入ったITベンチャーの営業職は良くも悪くも常識が無い人が多くて、度重なる転職と離婚が当たり前の悪く言うと治安が悪い、良く言うと人生経験豊富な人が多かった。
公務員は良くも悪くも公務員であることを誇りにしてる人が多いけど、民間企業では会社以外に誇りを持つ人間味が強い人が多い。
もちろんこの雰囲気は人を選ぶんだけど、俺はどちらかというと倫理観と常識が無い側の人間だから、ITベンチャーの自由な価値観は快適だった。
というか俺は公務員に向いてなさ過ぎた。
民間営業職は仕事が面白い
民間営業職は本省国家公務員と比べると仕事が面白い。
おいおい民間ばかり贔屓しすぎだろって話だけど、これはあくまで本省国家公務員と比較した話。
営業職の仕事にはストーリーがある
営業職は毎日色々な人に会ってそれぞれのニーズを聞くから変化が大きいし、相手の会社ごとに悩みのストーリーがあって面白い。
もちろんほとんどの営業は断られるし、新規のテレアポは怠いんだけど、それでも成果が数値として表れるし、契約できたときの達成感はひとしお。
営業職は企業担当者の苦悩を理解できる
特に営業職は相手の立場に立って提案しないといけないから多くの会社、業種、担当者単位での悩みを知ることができる。
例えそれが相手の会社にとって本当に良い商品だとしても、相手の担当者にとっては導入の労力が増えるだけでメリットが薄いし、バグが出れば社内で責任を追及されるリスクもある。
会社ごと、担当者ごとの細かい事情を知れるのが営業職の面白さだった。営業として働くことで本省国家公務員として勤務している時より遥かに世の中に詳しくなれた。
民間企業は風土が自由
これは俺がいた会社が恵まれていただけなのかもしれないけど、やる前に色々確認するより、まずやってみる姿勢が重視されていた。
世間体が重要な公務員でこの方針はありえない。最悪謝ればいいというITベンチャーの企業方針は今でも俺に大きな影響を与えてくれている気がする。
ITベンチャーは副業を推進される
さらに、会社としても副業が解禁されていて、土日にピザ屋で配達している人が居たり、自分で事業を営む人がいたりと様々。
これがあったから俺も色々な副業に手を出した結果ブログで独立することができた。
今が良いか悪いかは誰にもわからないけど、本省国家公務員を辞めてなければ今の俺は無かった。
人と仕事は適材適所
今回は本省公務員とITベンチャー営業職という極端な比較になったけど、事務系の公務員は多かれ少なかれ似たような環境になる。
今事務系の公務員を目指すか迷っている人は改めて自分の適性を考えてほしい。公務員の仕事は楽でも何でもないし、給料的な旨味もない。
あと現状公務員として勤務していて肌に合わないと感じている人は急ぎ転職することを進めたい。公務員がダメでも他で活躍できる場所はいくらでもある。結局人は適材適所。
俺は本省公務員としては平均以下だったけど、営業職では平均以上だった。
公務員試験勉強には価値があった
公務員を退職したことは良かったと心から思ってるけど、だからと言って公務員になったことを後悔しているわけではない。
元国家公務員という肩書き
一度公務員になったからこそ俺は公務員に向いていないと理解できたし、元本省国家公務員という強い肩書きを得られた。
どんな馬鹿な発言をしても
元本省国家公務員になれるだけの地頭がある
という色眼鏡で見てもらえるし、今後も一生職務経歴書に書ける。虎の威を借り続けられるのはありがたい。
公務員試験勉強は一生役に立つ
公務員は辞めてしまったけど公務員になるための試験勉強はマジで役立った。
民法、憲法、行政法、政治学、経済学、経営学について大半の人に知識量で勝てる。
更に、多くの人が理解していないであろう経済対策、衆議院と参議院の違いとか選挙制度も熟知してるから、ニュースを完璧に理解できるようになった。
公務員を辞めても公務員になるために得た知識は永遠に残るし、知識のベースがあるから色々なことを理解して興味を持てるようになった。勉強は大切。
仕事を辞めるのは悪いことじゃない
公務員と民間両方経験した結果、個人的には民間の営業職の方がよかったけどそれは俺に限った話。
結局民間企業もピンキリだから、公務員だろうと民間だろうと、合わないと思えば気軽に辞めて他を探せばいい。
公務員の場合は長時間の勉強が必要だから心理的に辞めにくいんだけど、合わない仕事を続ける方が地獄。それに辞めても勉強は無駄にならない。
よくある言葉だけど、人生は一度きりだし自分を守れるのは自分だけ。辞めること、逃げることは何も悪いことじゃない。
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