今でこそASUSといえばパソコンというイメージが強いんだけど、実は格安スマホ黎明期はZenfoneシリーズで市場を牛耳っていたスマホメーカーでもある。
今はもう当時の勢いはないんだけど、それでも長年スマホを作り続けた技術の結晶として毎年フラッグシップスマホを発売していたりする。
そんなASUSが2022年に発売したZenfone 9を購入したからレビューする。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
Zenfone 9の特徴
最近のスマホはどれもレベルが高いんだけど、Zenfone 9も例外ではなく機能はほぼ全部入りで特徴は下記。
- 超高性能(Snapdragon8+ Gen 1)
- コンパクト軽量(5.9インチ)
- デュアルカメラ(標準、広角)
- おサイフ
- 防水
- デュアルSIM
Zenfone 9は無線充電と望遠カメラ以外の付加価値は全部入り。処理能力もAndroid市場の最高ランクを誇る。
それでいて5.9インチとコンパクトだからどれくらいバッテリーが持つのか、どれくらいまともに使えるのかが勝負の分かれ目になる。
Zenfone 9のスペック
Zenfone9の詳細なスペックは下記。参考に同じコンパクトスマホとしてライバルになるであろうiPhone12と比較する。
Zenfone 9 | iPhone 12 | |
ディスプレイ | 5.9(120Hz有機EL) | 6.1(有機EL) |
解像度 | 2400x1080 | 2532x1170 |
CPU | Snapdragon 8+ Gen 1 | A14 |
メモリ | 8/16 | 4 |
ストレージ | 128/256 | 64/128/256 |
バッテリー | 4300 | -(Qi) |
セキュリティ | 指紋/顔 | 顔 |
おサイフ | 〇 | ○ |
防水 | IP68 | IP68 |
デュアルSIM | 〇(物理) | 〇(eSIM) |
重量 | 169 | 162 |
価格(税込) | 99800~ | 92,800~ |
Zenfone 9はAndroidの数少ないコンパクトスマホなのが強み。問題はその実用性で、どの程度まともに使えるのかが焦点になる。
Zenfone 9はAntutu105万点
Zenfone 9のAntutuベンチマーク計測結果は1,053,021点だった。過去のガジェマガの計測結果と比較すると下記。
- Zenfone 9 1053021(Snapdragon8+ Gen 1)
- iPhone 13 Pro 796452(A15)
- Zenfone 8 793557(Snapdragon888)
- Pixel 7 Pro 788900(TensorG2)
- Find X3 Pro 747175(Snapdragon888)
- Pixel 6a 731622(Tensor)
- iPhone 12 707452(A14)
- Pixel 6 Pro 701148(Tensor)
- Mi 11T Pro 693369(Snapdragon888)
- moto g100 664795(Snapdragon870)
- Galaxy Note20 Ultra 644423(Snapdragon865+)
- Galaxy S20 630889(Snapdragon865)
- Nothing Phone 583647(Snapdragon778G+)
- Galaxy S20 582949(Snapdragon865省電力モード)
- Xiaomi Pad 5 576689(Snapdragon860)
- realme GT Master Edition 539784(Snapdragon778G)
- Mi 11 Lite 5G 519539(Snapdragon780G)
- Mi 9 500624(Snapdragon855)
- Reno 5A 376881(Snapdragon765G)
- Redmi Note 10 Pro 343568(Snapdragon732G)
- AQUOS sense 4 282575(Snapdragon720G)
性能はぶっちぎり。その分爆熱で、放熱高率も良いらしく、側面の温度は最高で53℃にまで達した。これもぶっちぎり。
Antutu計測中のZenfone9驚異の爆熱で驚異の放熱。側面がラジエーターになってて53℃で普通に持てない。こんな発熱は滅多にないけど排熱が優秀。性能も驚異的。とはいえ2回計測で性能は若干落ちる。この性能何に使えばいいかわからないけどAndroid版のLuma Fusionが出るっぽいからそっちで活きるかも。 pic.twitter.com/wYV7hJVBm3
— トーマス@ガジェマガ(バイク日本一周中) (@gadgetKaeru) November 10, 2022
但し2回連続の計測で計測結果は92万点まで落ちた。とはいえこれでも十分すぎる。
Zenfone9は14時間2分バッテリー
Zenfone 9をPC Mark for Androidでバッテリー計測した結果、100%から20%になるまでかかった時間は11時間14分だった(輝度110ルクス音量50%120Hz)
つまり0%までは14時間2分もバッテリーが持つ計算になる。過去のガジェマガの計測結果と比較すると下記。
- AQUOS sense 4 20時間58分バッテリー
- Zenfone 6 18時間20分
- moto g100 17時間59分(90Hz)
- Redmi Note 10 Pro 16時間57分(60Hz)
- Zenfone 9 15時間48分(60Hz)
- Nothing Phone 15時間27分
- ROG Phone II 15時間21分(120Hz)
- Pixel 7 Pro 15時間(60Hz)
- Pixel 6a 14時間57分
- Zenfone 7 Pro 14時間31分(90Hz)
- Mi 9T 14時間27分
- Xiaomi Pad 5 14時間6分(120Hz)
- iPhone 13 Pro 13時間52分
- UMIDIGI S3 Pro 13時間45分
- iQOO Neo 3 13時間9分(144Hz)
- Pixel 6 Pro 12時間58分(120Hz)
- Pixel 7 Pro 12時間58分(120Hz)
- Redmi Note 10 Pro 12時間12分(120Hz)
- Mi 11T Pro 12時間6分(120Hz)
- Mi 9 12時間3分
- iPhone 13 Pro 12時間1分(120Hz)
- Nothing Phone 11時間59分(120Hz)
- iPhone 14 Pro 11時間30分(120Hz)
- Mate 20 Pro 11時間21分
- Mi 11 Lite 5G 11時間19分(90Hz)
- Zenfone 9 11時間14分(120Hz)
- realme GT Master Edition 11時間3分(120Hz)
- Galaxy S20 10時間44分
- Find X3 Pro 10時間31分(120Hz)
- OnePlus 8 Pro 10時間31分(120Hz)
- UMIDIGI S5 Pro 9時間45分
- Galaxy Note20 Ultra 9時間35分
- Mi 10 9時間29分
- iPhone12 8時間13分
- Galaxy S20 8時間(120Hz)
- Zenfone 8 6時間57分(120Hz)
- Alldcube M8 4時間47分
更に60Hzで計測すると15時間48分まで伸びた。このサイズ、この性能でこのバッテリー持ちは驚異的。旧型のZenfone 8から100%近く伸びていてやばい。
Zenfone 9は4300mAh/182g
Zenfone9は4300mAhものバッテリーを詰め込んでいるのにガラスフィルムを貼り付けた状態でも重量は182gと比較的軽く、本体サイズはiPhone 14 Proよりも小さい。
この小ささでこの性能、このバッテリー持ちはすさまじい。Zenfone 9がすごいのかSnapdragon8+ Gen 1がすごいのかはわからないけど今後のAndroidスマホにも期待が膨らんでしまう。
Zenfone9のコンパクトな外観
Zenfone 9はコンパクトなボディに巨大な2眼カメラを搭載しているのが特徴。
この2眼カメラは上が標準カメラの下が超広角カメラで、
横から見るとメインカメラだけ結構な厚みがある。
背面はプラスチック?がマット加工されていて指紋は付きにくい仕様。
全然安っぽくはない。
残念ながら無線充電には対応していないもののオサイフには対応していて、
イヤホンジャックを搭載するのにIP68の防水にも対応する。
有線イヤホンを使う人にはありがたい仕様になっている。俺が炎上したツイートは下記。
これ完全な偏見だけど有線イヤホンは今や厄介な人を見分ける踏み絵になりつつある気がしてて、やたら新しい物を嫌うか、ITリテラシーが超低いか、音質に拘りが強すぎるか、わずかな音ずれを許せないゲーマーか、利便性より安さを極端に優先する人のどれかで、どれに該当しても癖が強めで身構えてしまう
— トーマス@ガジェマガ(バイク日本一周中) (@gadgetKaeru) April 12, 2022
右側面には上に音量ボタン、下に電源ボタン兼指紋センサーを搭載していて、
この指紋センサーは触れるだけでロックの解除が可能。
もちろん顔認証にも対応する。
底面にはスピーカー、Type-C充電端子、マイク、SIMスロットを搭載する。
SIMスロットは両面の物理SIMでデュアルSIMに対応する。
左側面は何もなし。
Zenfone9を選ぶ最大の理由となるそのサイズ感は絶妙で、5.9インチは想像以上に小さい。
縦幅はiPhone 14 Proと同じだし、横幅はiPhone 14 Proよりも細い。
とはいえiPhone14Proも十分小さく使いやすい。どちらでもOK。
正面は5.9インチ120Hzの有機ELディスプレイが広がる。非常に綺麗。
画面上部には気持ち程度のパンチホールカメラと受話口兼サブスピーカーを搭載する。
音はステレオで普通に綺麗。普通。
ディスプレイ比較。左から6.7.インチPixel 7 Pro、6.1インチiPhone14Pro、5.9インチZenfone 9、6.2インチGalaxy S20。
Zenfone 9が最も小さく細いけど視認もできる。ここが情報を閲覧するデバイスとして最小の小ささだと思う。
Zenfone 9のカメラ
今回のZenfone 9のカメラはちょっとすごいらしい。ということで期待を込めて撮影してきたから撮影画像を検証していく。
Zenfone9のカメラ構成は下記。
- 標準カメラ(5000万画素)
- 超広角カメラ(1200万画素)
撮影画像はスマホ市場最強カメラのPixel 7 Proと比較する。撮影画像は全てAI補正オンで構えて撮影するだけのjpeg撮って出し。
標準カメラ晴天比較
青空の写真。標準化カメラはZenfone 9の方が画角が広い。空はZenfone9の方が青い。Pixel 7 Proも青いんだけどZenfone 9はもっと青い。これはこれであり。
明暗差の大きい写真。色味が違う程度でほぼ同じ。
緑が多い写真。Pixel 7 Proは暗め。Zenfone 9は明るめで好印象。右下の草木もメリハリがある。
花。Pixel 7 Proはオレンジ色が強めでピントが合ってる範囲も狭くて微妙。Zenfone9は明るくメリハリがあって好印象。シャープネスが高い。
標準カメラ夜景比較
タワー頂上の色はZenfone 9が正しい。その他はほぼ互角。Zenfone9すごい。
Pixel 7 Proは夜景になるとHDR強めで暗いところが少なく非常に見やすい。Zenfone 9はコントラスト高めでメリハリを出してうまくごまかしてる。
超低照度撮影。相変わらずPixel 7 Proはそのままを写すから使い物にならない。
ナイトモードを使って比較したのがこれ。Zenfone 9は非常に明るくシャープネス高めでくっきりしてる。
超広角カメラ晴天比較
Zenfone 9は標準カメラから一転して全体が白すぎるぐらいに白い。彩度が死んだ。あとZenfone9は超広角カメラの画角は狭い。
明暗差の大きな写真。Zenfone 9はコントラストが高く明暗差が大きい。
Zenfone 9は画面下が暗く、画面上は明るい。Pixel 7 Proは全体が暗いけど明るさは均されていて見やすい。Pixel 7 Proがもう少し明るければ完璧だった。
超広角カメラ夜景比較
夜空の写真。Zenfone9は少し明るすぎてノイズが一気に増えた。Pixel 7 Proはギリギリ耐えた。
歓楽街の写真。Pixel 7 ProはHDR強めで全体が明るく細部まで鮮明。Zenfone 9はノイズが多く看板の文字が少しにじんでる。コントラストを高くすることでうまくごまかしてる感がある。
超低照度撮影。Pixel 7 Proが暗すぎるから両方ナイトモード。色味以外はほぼ同じ。
Zenfone9カメラ総評
Zenfone 9のカメラはコントラスト高めで明暗差が大きく、更にシャープネスも強くはっきりした絵作りで、誰が撮っても簡単にそれなりに見えるまさにスマホカメラに最適化されたチューニングだった。
高画質の天井が低いスマホカメラの調整の方向性としては非常に正しい。
しかも絵作りの差はあれ標準カメラの画質はPixel 7 Proとほぼ同じで、昼夜を問わずどんなシチュエーションでも使いやすいカメラに仕上がっていた。
一方で超広角カメラは安定感が弱く、昼の写真の彩度の低下とか
夜の写真のノイズの多さとか不鮮明さが目立って安定感がなく
コントラストとシャープネスで誤魔化しきれてない印象だった。超広角カメラの画角が狭いのも惜しい。
とはいえ標準カメラのレベルは高い。Zenfone 9はカメラの為に買うスマホとしては心もとないけど、たまの撮影程度なら十分に耐えられる、平均以上のカメラに仕上がっていた。
Zenfone 9の親切なOS
AndroidはメーカーごとにOSを独自にカスタマイズするが故に使い勝手に差が出やすい部分ではあるんだけど、使いにくさが爆発してるPixelシリーズと違ってZenfone9は親切設計なのが嬉しい。
アプリ一覧画面下部には全てクリアボタンが表示されていて使いやすいし、
LINEアカウントの複製画可能
Zenfone 9はツインアプリにも対応するからLINEアプリの複製も可能。
デュアルSIMだから2つの番号で2つのラインアカウントを管理できるのが嬉しい。
割り当てられるジェスチャー動作が豊富
側面の電源ボタン兼指紋センサーは2回押し、長押し、スワイプに対応していて、
アプリとかライトon/offとかの好きなジェスチャーを割り当てられる。
更に背面ダブルタップも合計して割り当てられるジェスチャーは4つ。
全体的にユーザーフレンドリーなUIで、Galaxyほどではないにせよ使いやすく好印象なOSだった。
無線充電非対応が悔やまれる
カタログスペックの段階で分かっていたことではあるんだけど、Zenfone 9は予定通り無線充電には対応していない。これにさえ対応していれば、と悔やまれてならない。
10万円でこのサイズ、性能、バッテリー、カメラを実現したのは称賛に値するんだけど、同価格帯のiPhone12なら更に無線充電にも対応してしまう。
もちろんOSの違いはあるし、性能もバッテリーもZenfone 9が上回るから一概にどちらが良いとは言えないんだけど、あと一歩でiPhone12に完全勝利できたのに。と思うと惜しい。
無線充電が必要ない人は問答無用でZenfone 9を選べばいいと思う。イヤホンジャックに対応しているのも人によっては大きなアドバンテージになる。
コンパクトスマホの希望の星
Zenfone 9は「どうせコンパクトなAndroidはバッテリー持たないんでしょー?」という常識を見事に打ち破ってくれた。
いやiPhone 14 Proが既にあったけど、
Androidハイエンドスマホとしては初の快挙で、バッテリーがクソだったZenfone 8を思うと嘘みたいな進化を果たしてしまった。
イヤホンジャックありで浸水に対応
しかもイヤホンジャックありなのに浸水にも耐えられるしオサイフにも対応している。
それでいてスマホ価格が高騰している中価格を10万円に抑えてきた。
欲を言うならあと2万円足してでも無線充電と望遠カメラに対応してくれればメインスマホにも成り得たんだけど、それを実現しているiPhone 14 Proが15万円だからやっぱり10万円でこの性能はすごい。
ライバルはiPhone12
同価格帯に無線充電にも対応するiPhone12があるのが厄介ではあるけど、
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それ以上にAndroidコンパクトスマホにもようやくまともな選択肢ができたことを喜びたい。
もうサイズの為にiPhoneを選ぶ必要がない。俺は自由だ。
持ちやすく、使いやすく、妥協がない
5.9インチはとにかく持ちやすく、使いやすい。しかも性能にも妥協がない。
Zenfoneシリーズは落ち目だけどZenfone 9の完成度は快挙。もっと世に知れ渡ってほしいし売れてほしい。
そしてZenfone 10でさらなる進化を見せてほしいと思わせてくれるスマホだった。おすすめ。
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