中国スマホの購入にあたって躊躇するポイントは日本語対応とか周波数とか色々あるんだけど、その中の一つに技適マークがある。
今回は中国スマホ等の技適マークが無いデバイスを日本で使うケースにおいて、法律的にどうなのか、そして実際バレるのかをまとめる。
現在中国スマホの購入を迷っている人は参考にしてほしい。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
技適無しのスマホは法律的にはアウト?
そもそもの始まりは技適マークがついていないスマホが法律的にはアウトになる「可能性がある」ということ。というのも基準が超曖昧で、総務省の解説ページには
「 技適マークが付いてない無線機を使用すると電波法違反になる場合があります。」(引用:技適マーク、無線機の購入・使用に関すること)
と書かれているだけ。
つまり、技適マークのついていないスマホの利用 = 即電波法違反ではない。あくまで電波法違反になる可能性がある、ということ。
と思ったんだけど2020年6月18日に総務省に直接電話で問い合わせたところ、技適マークの無いスマホの使用は法律的には即アウトになるとのことだった。
ということで誰の迷惑にならないとしても法律を守ることに命を賭けたい人はこの段階で終了。技適マークの無いスマホの使用は諦めてほしい。
ここからは厳密には法的にはアウトだけど、誰の迷惑にもならなければOKのラインを突ける少しモラルが欠如した人向けの内容になる。
技適マークの存在意義
技適マークを理解してもらうためにまず技適マークの存在意義から解説する。
技適マークは簡単に言うと電波に関する手続きを簡略化するための総務省発行の免罪符なんだ。
技適マークを取れば手続きがいらない
スマホとかWiFiルーターは電波を発信する。だから厳密な定義では無線局に該当する。
つまり本来であればスマホ含む全ての無線局は総務省に検査してもらって免許を交付してもうらう必要がある。でもスマホは数が多すぎる。一台一台検査していては日が暮れる。
そこで登場するのが技適マークで、技適マークがついている無線局は検査不要で使用していいですよというのが技適マークの存在意義。
技適なしの海外スマホを使用しても捕まらない
大前提として技適マークの無い海外スマホの使用は即電波法違反になる。スマホは電源を入れた瞬間に電波を発信するから即アウト。法的な逃げ道は無いと思って欲しい。
一方で、現状技適マークがついていない海外スマホを使用して捕まった人(罰金、懲役)はまだ一人もいなかったりする。(参考:「技適」なしスマホを使うと罰せられる? 覚えておきたい技適の話)
海外スマホの使用は法的にはアウトなのに捕まらない。この矛盾を孕む理由は、電波法が海外スマホを取り締まるために作られていないからなんだ。
電波法は違法ラジオ局を取り締まるための法律
というのも電波法の制定は昭和25年まで遡る。当時はまだ電波の整理の真っ最中で、日本国も第二次世界大戦に敗戦したばかり。日本の体制がまだ安定していなかったんだ。
そして昭和25年はまだ日本国への抵抗勢力が非常に多い時代でもあった。それらの勢力は自らの思想を流布するために違法無線局となる無許可のラジオ放送を実施していたという流れ。
つまり電波ジャックをしていた。既存のラジオ局の放送を妨害して自分のラジオを発信する勢力が多数いたという話。
日本国としては電波ジャックは困るし抵抗勢力の拡大も困る。だからそれらを取り締まるための法律として電波法が制定されたんだ。今でもでかいアンテナと旭日旗を付けた右翼街宣車をたまに見かけるけど、電波法はあんな感じの勢力を取り締まるために存在する。
電波法は海外スマホの登場を想定していない
電波法は昭和25年に制定されたスマホが広く一般人に普及するスマホなんて想定していないし、海外スマホの登場も想定していない。
つまり電波法は時代に合ってない法律なんだ。違法ラジオ局を取り締まるための電波法にとって海外スマホなんてどうでもいいという話。
だから総務省も海外スマホは無視する。公的機関である以上法律的にはアウトだから使っていいとは言えないけど、害はないから逮捕はしない。
海外スマホに対して総務省はただ「電波法違反です」とだけ言う。なぜなら法律に違反してるから。但しそれ以上のことは何も言わない。なぜならどうでも良いから。
「電波法違反です」の言葉の裏にはどうでも良いから聞いてくんなの意が含まれるんだ。
海外スマホを使用しても実害はないし捕まらない
ということで海外スマホの使用に不安を抱いている人への回答はここまで。
時代に法律が追いついていない。現状は間違いなく違法になる。でも誰にとっても害はないから起訴されない。つまり警察としても逮捕するメリットが無い。故に捕まらないというのが今の海外スマホの実態。
ここからは電波と総務省の立ち位置を参考に参考に解説する。
総務省が電波を監視する目的
ところで総務省は24時間体制で日本の電波を監視し続けているんだけど、これは公共の財産である電波の混信を排除して良好な電波利用環境を維持するためなんだ(参考:電波監視業務のご案内)
要約すると、電波はみんなの物だから勝手に使われないように見張っとくねということ。
電波は社会システムの基盤
現代社会において電波は放送、携帯電話、ネットワーク機器や家電などで使われていて、社会システムの維持に欠かせない存在なんだ。
そんな社会システムを維持するためにも、総務省は電波を管理することで使用を許可制にして、更に違法な電波が発信されないように日頃から電波監視システム「デューラス(DEURAS)システム」を通して
24時間体制で違法な電波が無いかを日々監視していたりする。
違法電波で混信することによる弊害
例えば同じ周波数の電波は同じ空間に二つ存在できない。つまり、携帯電話用に使われている周波数帯を、より強い出力の個人的な放送(不法市民ラジオ)に使ってしまうと、その周辺一帯で携帯電話が使えなくなる。
これが電波の混信で、こうならないように総務省が違法電波を監視していて、それを取り締まるために電波法が存在するというのは上でも書いた通り。
違法電波を逆手に取ったのがジャミング装置
例えば立てこもり事件で警察が行う電波妨害も全く同じ原理で、ジャミング装置を使って携帯電話と同じ周波数帯の、より強力な電波を発信することで付近一帯の携帯電話を無力化してしまう。これによって犯人の外部連絡を遮断していたりする。
スマホの電波は既に死ぬほど飛んでる
逆に言うと海外スマホの電波の使用目的は既に利用されている日本の技適ありスマホと全く同じなんだ。
つまり総務省としても日本スマホと同じ電波を発する海外スマホを発見できない。海外スマホは違法だけど実害がない。だから捕まらないという話。
総務省「我々は禁止されていますと言うだけ」
実際に技適マークが無いスマホを使っていた人が総務省に問い合わせたところ
総「我々としては、技適マークの無い機器を使うことは電波法で禁止されていると言うだけです。話を聞く限りは海外製のスマホを使っただけで、悪質なものではなさそうですので、それ以上の事は無いです。」(引用:技適マークのない機器で無線を使っていたので自首してきた。)
という返答を受けている。総務省としても実害が無いために取り締まるつもりは無いという話。
【要申請】技適無しスマホを合法的に使える
なぁなぁになっている日本の技適無しスマホを取り巻く環境を放置すると面目が立たないと判断したのか、遂に日本でも技適無しのスマホを合法的に使う手段が誕生した。
それが「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」だ。⇒ 申請ページ
この制度では誰でもオンラインから技適無し無線局の使用申請をすることが出来て、一度申請すれば申請した目的の範囲内で180日間は合法的に使用できる。180日が経過しても目的を変えて改めて申請すれば名目上は通る。
つまり、総務省としても合法的に技適無しスマホを使う手段を設けることで「禁止されていますと言うだけ」という中途半端な回答を「申請をお願いします」に置き換えることで、違法状態を放置しなくて済む一応のけじめをつけた。これで海外スマホと技適問題は終幕した。めでたしめでたし。