道路を走行しているとすり抜けは毎日頻繁に見かける。そういえば車だと左側からの追い越しは違反になるけど、バイクだと適用されないの?信号待ち中のすり抜けは問題ないんだろうか。そもそも警察に捕まらないということは合法なのか、というところが自分でも曖昧だったから詳細に調べてみた。
特に現在バイクに乗っていて、すり抜けの扱いが良くわからない人は参考にしてほしい。ちなみに俺は今まで一度もすり抜けをしたことがない。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
【結論】すり抜けは道交法にほぼ違反する
最初に結論から書いてしまうと、すり抜けはその9割が道路交通法に違反する。すり抜け自体は違反ではないけど、すり抜けをすることによって他の道路交通法違反に該当する可能性が超高い。
「すり抜け」を取り締まる道路交通法はない
それならすり抜けって何なのかというとただの造語でしかなくて、実は道路交通法にすり抜けという文言はない。これが話をややこしくしてしまっている。すり抜けの定義は無いけど、すり抜けを行う過程で細かく道路交通法に違反することが問題になる。
停止中、走行中問わず、すり抜けは合法
逆にいうならすり抜け自体は直ちに道路交通法に違反するものではない。気を付けて取り組めばすり抜けを合法的に行うことも可能。
追い越し、追い抜きの概念
すり抜けの話をする前に、追い越し、追い抜きの定義の理解は欠かせない。まずは追い越しと追い抜きを説明する。
(画像引用:ギモン雑学)
車線変更を伴わずに前の車を抜くのが追い抜き
車線変更を伴わずに前の車を抜くことを追い抜きという。車線変更を伴わないから破線、白線、黄線を問わず抜ける。また、バイクであれば同一車線内で追い抜きを行うことも可能。危険だけど。
追い抜きは右側からでも左側からでもOK。追い越しと違って左側から抜いても問題ない。
車線変更を伴って前の車を抜くのが追い越し
車線変更をしたうえで前の車を抜くことを追い越しという。追い越しは車線変更を伴うからウィンカーの点灯は必須。また、追い越せるのは破線のエリアのみで、白線、黄線では追い越せない。
また、追い越しは右側からに限定される。左側からの「追い越しは追い越し方法違反」に該当する。
「すり抜け」によって違反する可能性がある道路交通法
すり抜け自体は道路交通法に明記が無いものの、すり抜けが起因となって違反に該当する可能性のある道路交通法は下記。
- 信号無視(道路交通法第7条)
- 通行禁止違反(道路交通法第8条)
- 進路変更禁止違反(道路交通法第26条)
- 追い越し方法違反(道路交通法第28条)
- 割り込み等の禁止(道路交通法第32条)
- 合図不履行(道路交通法第53条)
信号無視(道路交通法第7条)
(画像引用:ZuttoRideClub)
【道路交通法第7条】
道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等(前条第一項後段の場合においては、当該手信号等)に従わなければならない。
すり抜けをしたバイクは多くの場合一番前の車のさらに前に出るんだけど、この時に停止線を超えると信号無視に該当する。信号無視は停止線を越えているかどうかで判断されるから、先頭の車が白線で停止していた場合、一番前の車の前に出れば信号無視になる。
通行禁止違反(道路交通法第8条)
【道路交通法第8条】
歩行者又は車両等は、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行してはならない。 2.車両は、警察署長が政令で定めるやむを得ない理由があると認めて許可をしたときは、前項の規定にかかわらず、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行することができる。
高速道路でよく見かける一番左側の白線は路側帯と車道を分ける線であって、路側帯は歩道に該当する。この歩道を走行して前の車を追い越した場合は通行禁止違反に該当する。
もし路側帯の向こう側に別途歩道が用意されているのであればそれは路肩ということになるから、バイクで走行しても違反にはならない。
進路変更禁止違反(道路交通法第26条)
(画像引用:ZuttoRideClub)
【道路交通法第26条】
第二十六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
交差点でよく見かける黄色い線と白い実線は踏んではいけないどころか空中で体が超えることも許されない線であって、追い越し、追い抜きの際にオーバーするのはもちろん、車線変更もNG。逆に線を踏まない範囲であれば前の車を追い抜いてもOK。
追い越し方法違反(道路交通法第28条)
(画像引用:ZuttoRideClub)
【道路交通法第28条】
車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。
走行中の追い越しが許されるのは右からのみ。左からの追い越しは追い越し方法違反に該当する。逆に追い抜きは左側からでもOK。更に、停車中の車であれば左からでも大丈夫。また、右折待ち中の車であれば左からの追い越し、追い抜きも可能。
割り込み等の禁止(道路交通法第32条)
(画像引用:ZuttoRideClub)
【道路交通法第32条】
車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない。
道路交通法では基本的には前の車の後ろに並ぶように明記されていて、他の車の前方に割り込むのは違反に該当する。つまり、停車中の車のすり抜け時にジグザグに走行して前まで進めばそれが割り込み違反に該当する。
合図不履行(道路交通法第53条)
【道路交通法第53条】
車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第四項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
状況を問わず車線を越える場合は車線変更になるからウィンカーで合図しないといけない。これをしない場合は合図不履行として道路交通法違反に該当する。
すり抜けが道交法違反にならないケース
すり抜けが道路交通法違反にならないケースは下記2点。
走行中に右側からすり抜けする場合
走行中のすり抜けは車線変更を伴う場合は追い越しに該当するからそれに準ずる。
超えてもいい白線(破線)であればウィンカーを出して右から追い越せばOK。
走行中に左側からすり抜けする場合
車線変更を伴わない場合は追い抜きに該当するから右側からでも左側からでもOK。ただし同一車線上での追い抜きはかなり危険だからおすすめしない。
停車中のすり抜け
信号待ちなどで既に停車している車をすり抜ける場合は
超えてもいい白線(破線)であればウィンカーを出して右または左から追い越せばOK。
超えてはいけない白線(実線)、黄線の場合は線を踏まないように右または左から追い抜けばOK。ただし、ジグザグに走行すると割り込み違反に該当するのと、一番前に出た時に停止線を超えた場合信号無視に該当するから気を付けたい。
【結論】警察が本気出せばすり抜けはいつでも検挙可能
すり抜けに限らず道路交通法全般に言えることだけど、正直内容がかなり厳密で厳しい。普通に道路を走行していて道路交通法に違反しないのはほぼ不可能と言ってしまっていい。
警察も軽微な道路交通法違反を取り締まっていては埒が明かないから、ほとんどを無視しているのが実情。
バイクのすり抜けもほぼ毎日目にするし、そのほぼすべてが違反だけど、よほど目に余る運転であったり、明かな犯罪の臭いがしない限りは見逃されている。
道交法違反の取り締まりは警察の目的ではない
この辺りは正直道路交通法がやり過ぎているところもあるとは思うけど、いざというときに警察が怪しい人を足止めする理由を作れないと、警察自体が犯罪の抑止力としても機能できない。その意味で現在の道交法は良く言えば厳しすぎる、悪く言えば誰でも捕まえられる法律になっている。
警察が運用で柔軟に対応している格好だ。
車を信用するライダーは死ぬ
今回すり抜けについて、追い越しと追い抜きで扱いが異なることまで含めて解説したけど、個人的にはバイクのすり抜けは前の車の停車中のみにするのがおすすめ。前の車の走行中のすり抜けは道交法違反以上に死のリスクが高い。
バイクの巻き込み事故は即死に繋がる
曲がりたいけどウィンカーを出し忘れているドライバーがゴロゴロしている中で、走行中の車の横に付くのはリスクが大きい。もちろんそれで事故になれば相手が悪いからこちらの正当性を主張できるんだけど死んでしまったら正当性の主張もできない。触らぬ神に祟りなし。
すり抜けは安全確保に役立つ側面も
車から嫌われるバイクのすり抜けだけど、実はライダーの命を守る側面もある。信号待ちですり抜けをすれば車に後ろから突っ込まれるリスクが激減する。
車と違って追突されると首の痛みだけでは済まないバイクでは、すり抜けをして自分の安全を確保することも重要。俺自身バイク乗車時の片側二車線道路で信号待ちしてる時に、隣で信号待ちしていた車が追突されるところをモロに目撃した経験がある。運よく隣だから助かったけど、俺に追突されていたら死んでいたかもしれない。
その意味でバイクのすり抜けは信号待ちの時に道路交通法に違反しない範囲で取り組むのがおすすめ。ちなみに俺は今まで一度もすり抜けをしたことがない。
画像引用:ZuttoRideClub
仕事辞めてZZR1400で日本一半周ダイジェスト
仕事を辞めてZZR1400で日本を半周したダイジェストです。工程は全てYoutubeで配信しているのでよければチャンネル登録をお願いします。
バイク日本一周まとめ
2019年4月にガジェマガで独立して、それを機にバイクで日本半周してきたのでその様子を記事とYoutubeにまとめています。