激安スマホで話題の中国の新興企業UMIDIGIから同社のハイエンドモデルであるUMIDIGI S3 Proを提供してもらったから詳細にレビューしたい。UMIDIGIといえば1万円台でまともに使えるのが売りなんだけど、UMIDIGI S3 Proに関しては実売価格33,333円と同社のスマホの中で最も高い。UMIDIGI S3 ProがUMIDIGIにとって脱激安スマホの布石となるのかその詳細を見ていきたい。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
UMIDIGI S3 Proの特長
まず最初にUMIDIGI S3 Proの特長をまとめる
- 33,333円という激安価格
- 92.7%の高い画面占有率
- アルミとセラミックを組み合わせた高級感のあるボディ
- 5,150mAhの大容量バッテリーによる長時間駆動
- DSDS対応
- 技適マーク取得済みで電波法関係もクリア
UMIDIGIの最大の特長はその価格で、他の現行スマホと比較しても安い33,333円という値段にどこまで性能が追い付いているかというのが見どころになる。また、UMIDIGIの場合にアマゾンに日本公式ショップがあるからもはや海外スマホでもないんだけど、海外スマホとしては珍しく技適マークを取得しているから電波法を気にせずに使える嬉しい。
とはいえスマホの技適マークはあってもなくても気にしなくていい。その理由をまとめた記事が下記。
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UMIDIGI S3 Proのスペック
UMIDIGI S3 Proのスペックは下記。一つ一つ詳細に解説していく。
ディスプレイ | 6.3 |
解像度 | 2280x1080 |
CPU | Helio P70 |
メモリ | 6 |
ストレージ | 128 |
バッテリー | 5150 |
防水 | × |
指紋認証 | ○ |
DSDS | ○ |
重量 | 216 |
サイズ | 74.6 x 157 x 8.5 |
Helio P70/6ギガメモリ
UMIDIGI S3 Proが搭載しているCPUは台湾の半導体メーカーが作るHelio P70で、米クアルコムのSnapdragonよりも価格が安いことから格安スマホで採用されているCPUだ。Helioシリーズは世代が上がるごとに性能も徐々に上がってきていて、おなじみのAntutuベンチマークでは約15万点のスコアになることが発表されていた。
UMIDIGI S3 ProのAntutuベンチマークは約10万点
ということで入手したUMIDIGI S3 ProでAntutuベンチマークを計測してみたんだけど、結果は101,428点。
おかしい。ウェブ上では15万点前後の数値が散見できるから個体差が激しいのかもしれない。俺のUMIDIGI S3 Proでは何度やっても約10万点のスコアしか表示されなかった。
ガジェマガで過去に計測した結果と比較すると2014年に発売されたiPad Air 2と並ぶ結果になった。
- Mi 9 370408(Snapdragon855)
- Mate 20 Pro 276,214(Kirin980)
- nova3 208,857(Kirin970)
- P20 205,806(Kirin970)
- Mate9 148,204(Kirin960)
- UMIDIGI S3 Pro 145,021(Helio P70)←発表されている数値
- Redmi Note 6 Pro 116,545(Snapdragon636)
- iPad Air 2 108,431(A8X)
- UMIDIGI S3 Pro 101,428(Helio P70)←レビュー機
- ALLDOCUBE Cube M8 103,727(Helio X27)
- Lenovo S5 77,424(Snapdragon625)
- UMIDIGI One 64,756 (Helio P23)
- GalaxyNote3 65,352(Snapdragon800)
- Moto G4 Plus 57,671(Snapdragon617)
- P20 lite 53,072(Kirin670)
UMIDIGI S3 Proは普通に使う分には困らないスペックだけど、最近のスマホと比べるとスコアが低くて悲しい。あと6ギガメモリを搭載しているけど、CPUが低すぎて何の役にも立たない。
UMIDIGI S3 Proは驚異の17時間バッテリー
ここまで色々と暗いニュースが続いていたけど、スペックが低いことによるメリットもある。UMIDIGIは消費電力の少ない低スペックCPUを搭載していて、さらに5,150mAhもの大容量バッテリーだから駆動時間が超長い。
実際にPCMark for Androidで100%から20%になるまでの時間を継続した結果は13時間45分だった。0%までなら17時間19分も持つ計算になる。
この数値はほかのスマホと比較しても圧倒的。ガジェマガの過去の計測結果と比較すると下記。
- UMIDIGI S3 Pro 13時間45分
- Mi 9 12時間3分
- Mate 20 Pro 11時間21分
- Alldcube M8 4時間47分
もちろん5,150mAhものバッテリーを搭載しているから重量もしっかり重いんだけど
このクラスになるとどれも200グラム前後と重いことには変わりないから気にならない。
UMIDIGI S3 Proの高級感のあるボディ
UMIDIGI S3 Proは3万円台で購入できるとは思えないほどボディの質感が高い。
背面は鏡のように反射するアルミボディで、
側面はアルミよりも遥かに傷に強いセラミック製になっている。アルミの背面と比べて、セラミックの側面は独特の鈍い輝きを楽しめる。
セラミックは傷に強い代わりに衝撃に弱い。アルミと違って落とすと割れてしまう可能性があるから落下には注意したい。
背面にはデュアルカメラと指紋センサー、金色のUMIDIGIのロゴマークがある。
黒のボディに金のロゴが栄える。
底面にはType-C充電端子とイヤホンジャック、スピーカーがある。
最近のスマホはイヤホンジャックを廃止する流れだから、イヤホンジャックがついているのはうれしい。その代わりに防水には対応していないから気を付けたい。スピーカーの音質は声がはっきりと聴きとれる高音質だった。
左側面には音量ボタンと電源ボタンが付いている。
上面にはノイズキャンセリングマイクのみ。
右側面にはSIMカードスロット。
SIMカードスロットは排他式で、2枚目のSIMかMicroSDカードを入れられるようになっている。
UMIDIGI S3 Proの画面占有率は92.7%
前面ディスプレイはティアーノッチを採用することで画面占有率92.7%を実現している。広いディスプレイが気持ちいい。
6.3インチディスプレイのUMIDIGI S3 Proと6.4インチディスプレイのMate 20 Proを比較するとこんな感じ。UMIDIGI S3 Proのディスプレイは若干青い。
もちろん読書モードも搭載しているからオレンジ寄りの色味に調整ができる。
ティアーノッチ部分にはフロントカメラと
フロントカメラの上に通話用のスピーカーが付いている。このスピーカーはメディアの再生には対応していない。
UMIDIGI S3 Proは6.3インチもの大画面スマホではあるんだけど、19.5:9と比較的縦に長い比率のおかげで片手での操作も可能。
このあたりは最近のスマホのトレンドを踏襲している。
UMIDIGI S3 Proのボディ総評
UMIDIGI S3 Proは33,333円で販売されているとは思えないくらいに質感の高いボディで、全体の完成度は高い。鏡面仕上げが施されたアルミの背面が美しいし、
ワンポイントの金色ロゴも映える。
1万円台で購入できるUMIDIGI Oneは一応金属ボディという感じで質感はいまいちだったんだけど、販売を重ねるごとに完成度が上がっている。
UMIDIGI Oneのレビュー記事はこちら。
UMIDIGI S3 Proのカメラはかなりイマイチ
ここからはUMIDIGI S3 Proのカメラの画質を検証していく。UMIDIGI S3 Proのデュアルレンズ構成は下記。
- 標準レンズ 27mm 48MP 1/2センサー
- 望遠レンズ 50mm 12MP
タダで提供してもらいながらこんなことを言うのは心苦しいけど結論から言うとUMIDIGI S3 Proのカメラはかなりイマイチだった。昼間はまだいいんだけど夜は使い物にならない。なによりもカメラアプリのUXがひどい。動きがカクカクして使いにくいし、ピントが合うのが遅い。カメラに力を入れたという宣伝はなんだったのかと思うくらいに拍子抜けのがっかりカメラだった。
カメラはスマホトップクラスの画質を誇る俺のメインマシンMate 20 Proと比較する。
Mate 20 Proの画質は既にスマホ歴代4位まで落ちてしまったけど、トップとの差はたったの3点と誤差の範囲。まだまだトップレベルだ。
Mate 20 Proのカメラ画質の作例をまとめたカメラレビュー記事はこちら。
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撮影写真はUMIDIGI S3 Pro、Mate 20 ProともにAIアシストオンの状態で、編集一切なしの物を掲載する。すべてMate 20 Pro、UMIDIGI S3 Proの順番。
標準レンズ比較
まずは最も画質に優れる標準(メイン)レンズの画質を比較していく。
晴天
Mate 20 Proが全体的にバランスを重視した明るさなのに対して、UMIDIGI S3 Proは暗いところを明るく写そうとして空が白く飛んでいる。
Mate 20 ProはAIアシスト補正によって青い空をより青く写しているのに対して、UMIDIGI S3 Proは目で見た印象に近い。画質はほぼ互角。
UMIDIGI S3 Proの方が全体的に明るい。細部の描写もはっきりしていて、Mate 20 Proよりも好印象な写真が撮れた。
こちらも色味の違い程度。UMIDIGI S3 Proは明るい環境での写りはMate 20 Proと拮抗するくらい良い。
Mate 20 ProはAIアシストで花を検出すると写真に赤みを加えてより鮮やかに映し出す。UMIDIGI S3 Proは目で見た印象に近い。両方とも細部の描写からボケ感まで良い。
Mate 20 Proは赤い花にも赤味を加えるから赤が潰れる。赤い花が苦手。それに対してUMIDIGI S3 Proは自然な写りで良い。
少し暗めの場所に置いてあった黄色い花。ここはUMIDIGI S3 Proの悪い癖が出ていて、明るく写そうとするあまり細部が潰れ始めている。Mate 20 Proは色味も細部もバランスがいい。
UMIDIGI S3 Proは全体的に明るく写す傾向ではあるけど、晴天時の写りはMate 20 Proと拮抗するくらい良い。
夜景
Mate 20 Proは夜景モンスターだから暗い環境をとにかく明るく写す。奥のビルまでしっかりと存在を認識できるし、細部の描写も見事。UMIDIGI S3 Proは明るいところを何とか明るく写せたというギリギリの仕上がり。
Mate 20 Proは相変わらずのレベルの高さ。UMIDIGI S3 Proは明るく写り過ぎているし、ノイズで葉っぱが潰れて一つの塊のようになってしまった。しかもUMIDIGI S3 Proは暗所では迷いまくるから、この写真を撮影するまでに明るすぎたり暗すぎたりのボツ写真が2枚ある。Mate 20 Proは一発で安定してこのレベルの写真が撮れる。
UMIDIGI S3 Proは明るい部分が全て飛んでいる。また、細部はノイズで潰れている。
上の写真に同じ。明るい部分が明るすぎて、細部はノイズで潰れている。
UMIDIGI S3 Proのカメラは夜景では使い物にならない。明るさで迷いまくるし、ピントが合うまでに時間がかかるし、カメラアプリ画面はカクカクで写りを確認しにくい。ソフトウェアの改善に期待したい。
望遠レンズ比較
ここからは望遠レンズを比較する。Mate 20 Proが3倍望遠なのに対して、UMIDIGI S3 Proが2倍望遠で拡大率が異なる。それぞれの望遠レンズの倍率は下記。
- Mate 20 Pro 80mm アップのポートレート・物撮り向け
- UMIDIGI S3 Pro 50mm 全身のポートレート向け
汎用性はMate 20 Proの80mmよりUMIDIGI S3 Proの50mmの方が高く使いやすい。また、Mate 20 Proはメインレンズで圧倒的だったけど、望遠レンズはサブの位置付けだからメインレンズほど画質は良くない。
晴天
両方ともに全体的に暗いけど、Mate 20 Proは明るさのバランスが取れていて、細部まで細かく描写できている。UMIDIGI S3 Proは建物の中は暗いのに空は白く飛んでいるし、細部が甘い。
Mate 20 Proはくっきりはっきりで見れる。UMIDIGI S3 Proはピントが甘いように見えるけど、実はノイズで潰れまくっているだけ。ひどい。
夜景
UMIDIGI S3 Proは無駄に明るく写そうとすることでノイズだらけの見てられない写真になった。
上と同じ。明るさのバランスは良いけど全体的にノイズがひどい。
UMIDIGIはメインレンズも暗所に弱かったけど、望遠レンズはさらに弱い。夜は使い物にならない。
接写比較
最後にどこまでよれるかを比較した。
Mate 20 Proは広角レンズに切り替わることでマクロ撮影ができるけど、UMIDIGI S3 Proは通常レンズなのでよれる距離も普通。ここまでが限界だった。
UMIDIGI S3 Proカメラ総評
UMIDIGI S3 Proのカメラは晴天時の写りは全体的に少し明るすぎるけど、Mate 20 Proに迫る鮮明な写真が撮影できるのに対して、夜景時はポンコツ。
また、繰り返しになるけど、UMIDIGI S3 ProはカメラのUXがひどい。ピントが合うのが遅いし合わないし画面がカクカクしてるしで、カメラアプリを起動するのが億劫になる。UMIDIGI S3 Proのカメラに期待してはいけない。
UMIDIGI S3 Pro動画比較
UMIDIGI S3 ProとMate 20 Proの動画撮影を比較した。動画はカメラ以上にひどい。手振れ補正が全然効いていないし夜にも弱い。
UMIDIGI S3 ProはDSDS対応
UMIDIGI S3 Proは日本のキャリアの周波数帯の多くに対応していて、全キャリアで使える報告がある。具体的な対応周波数帯は下記。
2G: GSM 2 /3 /5 /8
2G: CDMA1X BC0,BC1
3G: EVDO BC0,BC1
3G: WCDMA 1 /2 /4 /5 /6 /8 /19
3G: TD-SCDMA 34 /39
4G: TDD-LTE 34 /38 /39 /40 /41
4G: FDD-LTE 1 /2 /3 /4 /5 /7 /8 /12 /13 /17 /18 /19 /20 /25 /26 /28A /28B
さらにDSDSにも対応しているから、
SIMカード2枚で2番号での運用ができる。
UMIDIGI S3 Proは純正ケースが付属する
UMIDIGIシリーズではおなじみなんだけど、UMIDIGI S3 Proには本革っぽい見た目のラバーケースが付属するのが嬉しい。
ケースの質感はこんな感じ。男性的なケースで好みが分かれるけど俺ならそのまま使う。
UMIDIGI S3 Proはカメラの出っ張りが大きいから純正ケースを付けてもカメラ部分は飛び出す。
この辺りは俺のサブ機のMi 9と同じ。
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UMIDIGI S3 Proの良いところと欠点まとめ
色々とUMIDIGI S3 Proを触ってみて感じた良いところと欠点は下記
良いところ
- 33,333円という激安価格
- 技適に対応
- 超長時間バッテリー
- 92.7%の高い画面占有率
欠点
- 液晶の色味が微妙
- スペックが低い
- カメラが夜に弱すぎ
- カメラアプリのUXが悪い
- 防水非対応
全体的に欠点が良いところを上回る
全体的に欠点が強くて良いところが弱い。33,333円という価格は確かに安いけど、他のスマホと比較して大きく安いかというとそうでもない。俺には35,000円で購入できるZenFone Max Pro (M2)を押しのけてまで33,333円のUMIDIGI S3 Proを買う理由が見つからない。
もしUMIDIGI S3 Proが一年前に発売されたのであればまだ選択肢には入ったかもしれないけど、ハイスペックスマホの相場が下がりまくっている今、UMIDIGIの価格メリットは弱い。
そうなるとカメラ画質とかスペックとか、基本性能の低さが目立つ。技適マーク取得なんて正直どうでもいいし、全キャリアに対応していてもスペックが低ければ意味がない。
繰り返しになるけどスマホの技適マークは気にしなくていい。その理由をまとめた記事が下記。
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技適マークのないスマホが違法なのに捕まらない理由【バレない】
中国スマホの購入にあたって躊躇するポイントは日本語対応とか周波数とか色々あるんだけど、その中の一つに技適マークがある。 今回は中国スマホ等の技適マークが無いデバイスを日本で使うケースにおいて、法律的に ...
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ZenFone Max Pro (M2)がおすすめ
無料で提供してもらっておきながらUMIDIGIをディスりまくる内容になってしまった。今回レビューしたUMIDIGI S3 Proはボディの質感は高いんだけど、それ以外の部分は全部微妙。
強いてUMIDIGI S3 Proをおすすめできるポイントがあるとすれば超長時間バッテリーで、17時間も実際に使えるのは驚異的。とはいえZenFone Max Pro (M2)は20時間を超えるらしいからそこでも負ける。少しでもスマホを安く購入したいのであれば選択してもいいかもしれないけど、俺なら2,000円足してZenFone Max Pro (M2)を買うし、一万円ちょっと足すだけでスマホ歴代最強スペックで5万円のMi 9に手が届く。
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UMIDIGIごめん。今後UMIDIGIからのスマホ提供はないな。
【動画で解説】UMIDIGIをおすすめしない理由
UMIDIGIスマホをおすすめしない理由を動画で詳細に解説しています。