なんでも今回のAQUOS sense9は前回とは一味違うらしい。今までのAQUOS senseシリーズといえばとにかくダサく、ショボい、どう考えてもじじいばばあしか手に取らないような製品で、前回のAQUOS sense8からようやく使えなくはない程度の性能になっていた。
が、今回のラピュタロボット兵モデルはぱっと見からかわいい。しかも性能も堅実に伸びているんだとか。これひょっとしたらライトユーザー向けには最高に丁度いいスマホなんじゃ?と思って買ってみたからレビューする。
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AQUOS sense9の特徴
最初にAQUOS sense9の特徴をまとめると下記。
- 超頑丈(MIL規格16項目準拠)
- おサイフ・防水対応(IP68)
- 3日持ちバッテリー
- コンパクトで軽い(6.1インチ166g)
- それなりに使える性能(Snapdragon 7s Gen 2)
- ステレオスピーカー
AQUOS sense9のターゲットはあくまでライト層。ということでショップで売りやすい価格に設定されているのがAQUOS senseシリーズの特徴で、その強みもわかりやすく、頑丈、防水、おサイフ、長時間バッテリーなど、ライトユーザーにぶっ刺さる内容になっている。
とはいえ順当に進化し続けた性能とスピーカーもあり、もはやライトユーザー以外でも使えてしまうくらいの性能に磨かれつつある。
AQUOS sense9の詳細なスペック
AQUOS sense9の詳細なスペックは下記。参考に俺がメインスマホとして使ってる同じくコンパクトスマホのGalaxy S24と比較する。
AQUOS sense 9 | Galaxy S24 | |
ディスプレイ | 6.1(120Hz有機EL) | 6.2(120Hz有機EL) |
解像度 | 2432x1080 | 2340x1080 |
CPU | Snapdragon 7s Gen 2 | Snapdragon 8 Gen 3 |
メモリ | 6/8 | 8 |
ストレージ | 128/256 | 256 |
バッテリー | 5000 | 4000 |
セキュリティ | 指紋/顔 | 指紋/顔 |
おサイフ | 〇 | 〇 |
防水 | IP68 | IP68 |
デュアルSIM | 〇(eSIM) | 〇(eSIM) |
重量 | 166 | 167 |
サイズ | 73x149x8.9 | 70x147x7.6 |
価格 | 約6万円 | 約12万円 |
AQUOS sense 9が驚異的なのはほぼ同じサイズ、同じ重量なのに5000mAhもの大容量バッテリーを搭載していることで、俺にもいったい何が起きているのかわからない。
別に背面がプラスチックというわけでもないんだ。なぜこんなに軽い?Galaxy S24の素材が悪いのかAQUOS sense9の企業努力なのか謎。
AQUOS sense9はAntutu61万点
AQUOS sense9のAntutu v10のベンチマークスコアは61万点だった。過去のガジェマガの計測結果と比較すると下記。
- Galaxy S24 1724895(Snapdragon 8 Gen 3)
- iPhone 15 Pro 1599710(A17 Pro)
- iPhone 14 Pro 1434765(A16)
- Galaxy S23 1422544(Snapdragon 8 Gen 2)
- Pixel 9 Pro 1224046(TensorG4)
- Pixel 7 Pro 880323(Tensor G2)
- Xiaomi 13T 876047(Dimensity 8200-Ultra)
- AQUOS sense9 610272(Snapdragon 7s Gen 2)
AQUOS sense9はAntutu v10になってからの計測結果としては最下位に終わった。最近のミドルスマホとしても低い方。
とはいえ通常利用であればこれだけあればほぼ差はでないし十分な気はする。3Dゲームには向かないから注意。
AQUOS sense 9は26時間28分バッテリー
AQUOS sense 9をPC Mark for Androidでバッテリー計測した結果、100%から20%になるまでかかった時間は17時間39分だった(輝度110ルクス音量50%60Hzの計測結果)。つまり0%までは22時間4分使える計算になる。
過去のガジェマガの計測結果と比較すると下記。
- AQUOS sense9 21時間10分(60Hz)
- AQUOS sense9 17時間49分(120Hz)
- Pixel 9 Pro 17時間39分(60Hz)
- Galaxy S24 17時間4分(60Hz)
- Zenfone 9 15時間48分(60Hz)
- Nothing Phone 15時間27分
- Xiaomi 13T 15時間7分
- Pixel 7 Pro 15時間(60Hz)
- Pixel 6a 14時間57分
- Pixel 9 Pro 14時間55分
- Pixel 7a 14時間48分
- Galaxy S23 14時間35分(60Hz)
- Zenfone 7 Pro 14時間31分(90Hz)
- Galaxy S24 14時間10分(120Hz)
- AQUOS sense8 14時間10分
- Xiaomi Pad 5 14時間6分(120Hz)
- Xiaomi 13T 12時間31分(144Hz)
- iPhone 13 Pro 12時間1分(120Hz)
- Nothing Phone 11時間59分(120Hz)
- iPhone 14 Pro 11時間30分(120Hz)
- Mate 20 Pro 11時間21分
- Mi 11 Lite 5G 11時間19分(90Hz)← 1日使えるライン
- Galaxy S20 10時間44分
- Find X3 Pro 10時間31分(120Hz)
- Galaxy Note20 Ultra 9時間35分
- iPhone12 8時間13分
この数値は驚異的。過去最高だったPixel 9 Proを4時間も上回っていてぶっちぎり。俺も最初は何かのミスかと思ったけど、120Hzで計測しても17時間49分のぶっちぎりタイムを叩き出した。なんとトップ2をAQUOS sense9が独占する形になった。
もはや余裕の3日。4日すら視野に入る。スマホのバッテリー持ちは新次元に来たし、バッテリーのAQUOSが帰ってきた。
AQUOS sense 9は5000mAh/166g
AQUOS sense 9は6.1インチのコンパクトボディに5000mAhものバッテリーを搭載しているのに重量は166gと驚くほど軽い。ガラスフィルムを張り付けても176gでまだまだ軽い重量に収まった。
但しその分厚みはしっかりある。画像は左からAQUOS sense9、Galaxy S24、iPhone16Pro、Pixel 9 Proだけど、
ボディが一番厚いのはAQUOSだった。それでも軽くてコンパクトなことには変わらない。素晴らしい。
AQUOS sense9のボディは超可愛い
さて今回のAQUOS sense9の特徴はなんていったってその垢抜けたボディで、ダサくないどころか積極的にかわいい。
最大の特徴は勝手にジブリとコラボしたロボット兵デザインのカメラ部で、
今にも肩に鳥がとまりそうな優しい表情で癒されさえする。このデザインは良い。
側面デザインも全体にマット加工されつつしっとり丸みを帯びていて優しい。
側面物理指紋センサーが嬉しい
側面には前作から引き続き物理の指紋センサーを搭載する。
精度も十分で失敗もなく快適なのが嬉しい。
あとロック解除までにワンテンポ置く挙動のキモさも健在。なんの間なのかは謎だけど、ストレスになるほどではないから許す。
SIMスロットが取り出しやすい
更にAQUOS sense9は引き続き爪で引っ掛けられる取り出しやすいSIMスロットを採用。
高齢者でも簡単に開けられるのが嬉しいかもしれないけど、スマホにとってSIMカードは生命線でもあるからこれは重大なセキュリティリスクになる気もする。足立区とか岸和田辺りだとトイレに行った隙にSIMカードだけ抜かれそうでちょっと怖い。
6.1インチのディスプレイはベゼルが太い
AQUOS sense 9は前回に引き続き6.1インチのディスプレイを採用。これは現状片手で使えるベストなサイズ感だと思っているんだけど、他のコンパクトスマホと比べるとベゼルの太さが目立つ。
写真は左からAQUOS sense9、Galaxy S24、iPhone16Pro、Pixel 9 Pro。AQUOS sense9はベゼルが最も太い。もう少し詰められたんじゃないかと思う。逆にGalaxy S24は超美しい。
あとAQUOS sense 9のディスプレイの色合いは白寄り。
写真は左からAQUOS sense9、Galaxy S24、iPhone16Pro、Pixel 9 Pro、Nothing2aの順。とはいえこの辺りは好みで気になる部分ではない。
デュアルスピーカーは思ってるよりイマイチ
今回のAQUOS sense9のわかりやすい進化点としてデュアルスピーカー対応があって、俺もここに期待していたんだけど、残念ながら思っているよりイマイチだった。
ちゃんと音はデュアルで出てるんだけど、問題は音がこもりすぎていることで、人の声が非常に聞き取りにくい。つまりYoutube視聴に不向き。これはモノラルスピーカーのAQUOS sense8も酷かったんだけど、AQUOS sense9もスピーカーがデュアルになっただけで音質の悪さは健在だった。惜しい。
AQUOS sense9は謎にディスプレイ出力に対応
AQUOS sense9は前作から引き続きディスプレイ出力に対応する。6万円前後でディスプレイ出力に対応するスマホは珍しい。んだけど、この機能をどこで使えばいいのかは謎。
じいちゃんばあちゃんが撮影した孫の写真を大画面で見れることを想定しているのかもしれない。けど推されてる機能でもない。無いよりは嬉しいけどよくわからない。
ビジネス利用で圧倒的なiPhoneの牙城を崩したい狙いがあるのかもしれない。謎。
AQUOS sense9のお値段以上のカメラ
さて気になるのは上位モデルがLeicaの監修も受けているカメラなんだ。Leicaの監修を受けているということは内部にノウハウも溜まっているはず。つまり下位モデルのAQUOS sense9でも画質が向上している可能性が高い。
ということで今回もスマホNo1カメラだと思ってるPixel 9 Proと比較していく。写真は全てjpeg無加工取って出し。レンズを向けてシャッターを押すだけの完全オート撮影で行った。
標準カメラ晴天写真
まずは苦しい青空の逆光写真から。これはカメラが苦手とするところでAQUOS sense9は色味と暗部が死んだ。Pixel 9 Proはギリギリ耐えた。
明暗が共存する写真。より白飛びが少ないのはPixel 9 Proだけど全体にコントラストが低すぎてのっぺりしてる印象で、俺はAQUOS sense9の方が好き。
明暗+逆光の難しい写真。AQUOS sense9は白飛びしまくった。Pixel 9 Proは白飛びを最低限に抑えつつ暗部も描写できていてすごい。
緑の多い写真。AQUOS sense9は若干空が白飛びしてしまったのが惜しい。センサーサイズが小さいからか明暗差には明確に弱い。
花。Pixel 9 Proは暗すぎ。AQUOS sense9の方が好き。但しAQUOS sense9はこれ以上寄れない。マクロ撮影は無理。Pixel 9 Proはしっかり寄れる。
標準カメラ夜景写真比較
夜空の写真。Pixel 9 Proは弱点となる青みが出た。AQUOS sense 9は露出のバランスも完璧。背景の空がのっぺりと黒すぎる感はあるけど、俺はAQUOS sense9の方が好きかもしれない。
繁華街の写真。露出がアンダー気味のPixel 9 Proに対してAQUOS sense9は完璧。良い。
超広角カメラ晴天写真
逆光の写真。AQUOS sense9は白飛びが多く若干色味がバグる。その分暗部は描写できてる気がする。
ほぼ互角だけどAQUOS sense 9はメリハリが弱い。Pixel 9 Proは色味も安定していてバランスがいい。
明暗と逆光の写真。AQUOS sense9はさすがに白飛びしすぎ。Pixel 9 Proは相変わらずの安定感を保った。
緑の写真。AQUOS sense9は白飛びが目立つ。Pixel 9 Proは相変わらずすんごい。
超広角カメラ夜景写真比較
AQUOS sense 9は超広角カメラだと夜景は苦しい。白飛びしまくりの細部を失いまくり。Pixel 9 Proは青いけど耐えてる。
繁華街の写真。AQUOS sense9は白飛びとノイズが目立つ。Pixel 9 Proは青いけど描写は鋭い。
6万円なら文句なしのカメラ
正直AQUOS sense9のカメラは想像以上だった。16万円のPixel 9 Proと張ってるシーンがいくつかあった。6万円で買えるのに(倒置法)。
もうカメラがうんこのAQUOSは存在しないのかもしれない。特にメインカメラは色味、露出ともに抜群のバランス調整でハズレが少ない。
但しセンサーサイズの限界はどうしてもあって、明暗差の大きい写真はことごとくPixel 9 Proに惨敗した。
センサーサイズが小さいAQUOS sense9では明暗差を捉えきれず晴天時の撮影に弱い。特にその傾向は超広角カメラで顕著で、明暗差ですぐ白飛びしてしまう。
逆に明暗差が少ない夜景ではPixel 9 Proに肉薄していて、特に標準カメラの夜景写真はぱっと見ではPixel 9 Proより綺麗に見えた。
6万円でこれだけ撮れるなら上出来で、カメラに拘らないライトユーザーからは不満が出ないであろう仕上がりだった。
AQUOS sense9の動画はかなりイマイチ
6万円にしては頑張ってる写真性能とは裏腹にAQUOS sense9の動画性能はかなり微妙。まず60fpsがメインカメラでしか使えないし、60fpsが全然安定しない。
更に手振れにも弱く、夜はノイズも多い。全体的についてるだけな性能で、期待してはいけない。所詮6万円。
やっぱりおじさんおばさん向け
AQUOS sense9はミドルスマホの良いところと悪いところが明確に出たスマホという感じだった。
AQUOS sense8の強みだった堅牢性と防水、おサイフとかのライトユーザーが喜ぶ付加価値はそのままに、弱点だったデザイン、性能、バッテリー持ちを改善して、同じ値段でより満足度の高いスマホに仕上げてきた。
良いところと悪いところが明確
なにより注目すべきは驚異のバッテリー持ちで、これは全てのスマホを過去にできるほどヤバい。
60Hzで運用すれば充電せずに1週間だって使用できてしまう可能性を孕んでいる。それでいて別に性能が低いわけでもないという絶妙なバランスを保っているのがAQUOS sense9の最大の強み。
但し望遠カメラがないことと、スピーカーの音質が悪い弱点はそのまま残っていて、
引き続きスマホでゲームとか撮影、動画や音楽を楽しみたいという人にはお勧めし難いスマホでもある。
つまりターゲットは相変わらず明確で、ライトユーザーが狙い。驚異の堅牢性、バッテリー持ちと可愛いデザインで使えりゃいいんだよって人の心を鷲掴みにできる。
だから「よくわからないしそんなに使わないんだけど何買えば良い?」って人にはお勧めしていい。特におじさんおばさん、じーちゃんばーちゃんには全力で行ってほしい。
スマホヘビーユーザーには向かないスマホ
逆にスマホを好きな中高生とか大学生、俺みたいなスマホオタクには完全にアウト。ゲームも撮影も苦手だし、動画だって楽しみずらい。バッテリーも持つに越したことはないけど、別にここまで持つ必要もない。
という感じでAQUOS sense9は前回までと違いデザインが良くなりすぎた分、たくさんの悲劇を生みそうな気配を感じるスマホだった。その可愛い見た目に騙されないように注意してほしい。