5年連続で国税専門官採用試験に合格した俺が、実体験から公務員試験勉強のコツを教える。
この記事では公務員試験の中でも一次試験と言われる教養択一試験・専門択一試験の攻略方を書いている。
試験職種としては多くの人が併願しているであろう国家総合職・県庁(都庁)・裁判所職員・国税専門官・国家一般職・市役所A・国立大学法人・市役所Bあたりに対応できる内容だ。
今必死に公務員を目指している人の参考になればうれしい。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
5年連続国税専門官試験合格
俺の経歴として、まず5年連続国税専門官の筆記試験に合格して、5年連続で面接に落ちた。
結局国税専門官になってないのかよ!って話だけどなってない。面接がよっぽどダメだったか、国税専門官に向いてないと見抜かれたんだと思う。
といいつつも公務員にはなっていて、国家一般職(Ⅱ種)公務員として霞ヶ関で勤務しながら国税専門官採用試験を受け続けたんだけどダメだったから諦めた。
結局今は民間企業で勤務してるんだけど、その話はブレるから別の機会に。
公務員試験の難易度
公務員試験の目安勉強時間
試験の難易度は上から難しい順にこんな感じ。こんな大変な試験に挑むという誇りをモチベーションに勉強してほしい。ちなみに俺は上位2試験の国家総合職と裁判所職員以外に合格している。
試験科目 | 勉強時間目安 |
国家総合職(Ⅰ種) | 2000時間 |
裁判所職員 | 1700時間 |
地方上級・国家一般職(Ⅱ種)・国税専門官・国立大学法人 | 1500時間 |
市役所A・市役所B・地方警察・消防 | 1500時間以下 |
公務員試験の内容
試験の内容自体はどれも変わり映えしない。出てくる科目も似たり寄ったりだけど、難度が上がるにつれて合格に必要な点数が上がる。
一番難易度の低い市役所A・市役所B・地方警察・消防は比較的科目が少ないから、場所・科目によってはほとんど勉強しなくても合格できる。市役所ごとに科目が違うから、試験を受ける市役所の出題科目をチェックしよう。
公務員試験で勉強すべき科目
公務員試験の難易度の原因は多過ぎる試験科目数なんだけど、全体の科目に対して、横線を引いてる科目は勉強しなくていい。勉強すべきは太字の科目だけだ。
教養択一試験の勉強法
文章理解・・現代文、古文、漢文、英文
数的処理・・数的推理、判断推理、資料解釈
人文科学・・日本史・世界史・地理・思想・文学・芸術
自然科学・・数学・物理・化学・生物・地学
社会科学・・政治・法律・社会・経済
教養択一はひたすら数的処理を勉強するだけでいい。他の科目は配点と勉強時間が見合ってないから無視する。わからない問題は適当にマークして20%で当てれば大丈夫。
おまけとして思想・文学は片手間で一週間勉強すればマスターできて、各試験で3点から5点を稼げるコスパの高い科目だからおすすめだ。
経済は専門試験のミクロ・マクロ経済学ですべて対応できるから教養試験としては勉強しない。教養の経済には経済事情も含まれるけど、ここは試験直前の1月に発売される速攻の時事最新号を購入して勉強すれば大丈夫。
赤文字の政治・法律・社会は専門科目としてガッツリ勉強する範囲で答えられるから、教養試験対策はいらない。
これで余裕で合格できる。
専門択一試験の勉強法
法律系・・・憲法・民法・行政法・刑法・商法・労働法
経済系・・・経済原論・財政学・経済史・経済事情・経済政策・経営学
行政系・・・政治学・行政学・社会学・国際関係・社会政策
公務員試験勉強時間の8割は専門択一試験に費やす。
と言ってもこちらも配点と勉強範囲を考慮していらない科目を無視する。
経済関係が細かく分類されててややこしいけど、要はミクロ・マクロ経済学・財政学の3科目を勉強すれば網羅できる。
国税専門官試験は経営学の配点が高いから国税専門官を目指すのであれば勉強は必須だ。国税専門官試験を無視するなら経営学もいらない。
公務員試験の参考書まとめ
俺は大学の公務員セミナーでもらった教材を5年間使ったから同じものが本屋に無いんだけど、使っていた教材数はこんな感じ。
一般科目 | 教科書 | 問題集 |
数的処理 | 1冊 | 1冊 |
思想文学 | 20Pほどの薄い冊子のみ | |
経済 | 速攻の時事教科書1冊 | 速攻の時事問題集1冊 |
専門科目 | 教科書 | 問題集 |
憲法 | 1冊 | 1冊 |
民法 | 2冊 | 2冊 |
行政法 | 1冊 | 1冊 |
ミクロ経済学 | 1冊 | 1冊 |
マクロ経済学 | 1冊 | 1冊 |
財政学 | 20Pほどの薄い冊子のみ | |
経営学 | 1冊 | 1冊 |
参考書と問題集で合計20冊。最初の科目数を見ると絶望するけど、科目はここまで絞ってしまって大丈夫。20冊なら出来そうな気がしてくる。
教材は結局どれを使っても過去問が並んでるだけで違いがないから、何を使うかよりも何周するかが重要で、有名どころのスーパー過去問ゼミシリーズで十分。これをマスターすれば敵無し。俺も経営学はスーパー過去問ゼミで学習して本番では全問正解だった。
公務員試験の勉強スケジュール・開始時期
公務員試験勉強の開始時期は早すぎてもだれるから、試験前年の夏ごろから取り組む。
問題集は最低2.5週するつもりでスケジュールを決める。最後の0.5は2週しても答えられなかった問題に絞って取り組む。
まず全体の問題数を見てそれを日割りして一日のノルマにする。
ノルマは絶対にズレるし、どんどん遅れが出るから、ざっくりと決めて月ごとに見直す感じでいい。
ノルマを設定することに時間を費やさない。
1日の公務員試験の勉強法・流れ
公務員試験は記憶科目と計算科目に分かれる。記憶ばかりやるのは辛いので計算と記憶に交互に取り組むのがおすすめだ。
上で紹介した教材ごとに記憶科目と計算科目を分けるとこうなる。
一般科目 | 勉強法 |
数的処理 | 計算 |
思想文学 | 記憶 |
経済 | 記憶 |
専門科目 | 勉強法 |
憲法 | 記憶 |
民法 | 記憶 |
行政法 | 記憶 |
ミクロ経済学 | 計算 |
マクロ経済学 | 計算 |
財政学 | 計算 |
経営学 | 記憶 |
結局計算科目も計算方法を記憶する科目だから、終局的にはすべて記憶科目なんだけど、それは置いといて、計算科目は気分転換になる。
だから一日は辛い記憶科目から初めて、飽きたら計算 ⇒ 記憶 ⇒ 計算の流れを繰り返すのが集中しやすい。
記憶科目と計算科目を交互に勉強する
最も配点が大きい数的処理は気分転換の意味も込めて毎日やる。
勉強量も内容も一番つらいのは憲法・民法・行政法の3科目だから、これを計算科目で挟む。
具体的な一日の流れは
憲法(記憶)⇒数的処理(計算)⇒民法(記憶)⇒ミクロ経済学(計算)⇒行政法(記憶)⇒マクロ経済学(計算)⇒経営学(記憶)
という感じで、自分を飽きさせないようにすることで集中が継続しやすくなる。
数的処理の勉強法【毎日】
超重要。あらゆる公務員試験で最大の点数配分だから絶対に点数を取りたい。気分転換にもなるから毎日やる。
ミクロ・マクロ経済学・財政学の勉強法【毎日】
超重要。あらゆる専門試験で大きな配分だし、教養科目にも出題されるから避けては通れない。気分転換にもなるから毎日やる。
民法・憲法・行政法の勉強法【毎日】
公務員試験の砦。知らない言葉だらけだし範囲の広さがエグイけど、専門試験の点数配分が高いから避けては通れない。最も勉強に時間がかかる科目だからこそ毎日やる。
経営学の勉強法【年始から】
比較的内容が簡単だし、国税専門官以外の試験では重要度低め。忘れると困るから試験が近づいたら取り組む。
時事は直前に詰め込む【直前】
試験年の1月か2月に速攻の時事最新号が発売するから購入して読み込む。比較的簡単だから直前で大丈夫。
思想文学【一月前】
試験の一月前くらいから取り組む。覚えることは少ないから余裕。
公務員試験勉強のコツ・メンタル面
ここからは俺なりの勉強のコツを伝授するけど、結論から言うと物量に勝るものはない。
え、結局?って話だけど、人生ってそんなもん。スポーツだってブログだってゲームだって力量とか効率の差はあれど、結局物量がものを言う。より多くの時間を割いた人が強い。
けどそれだと参考にならないから勉強を効率よく継続するコツを教える。
公務員試験に落ちた自分を想像する
これが一番効く。
勉強できないときは落ちてもう一年勉強することになった自分を想像する。
今は辛いけど、それがもう一年続くと考えると地獄。2年目をなくすためにも今勉強する。
とにかく勉強机に座る
勉強なんて楽しいはずがないから全然やる気にならないし進まないんだけど、それでもいいから机に座る。
実際に勉強する時間が机に座っている時間の80%だとしても、机に座っている時間を長くするほど勉強できることになる。
勉強机は勉強のスタート地点なので、スマホいじってても良いから勉強机には座ろう。
図書館など外部の勉強場所を作る
家で淡々と勉強できる人は良いんだけど俺は無理だった。
家にいるとふさぎ込むから勉強するための場所を外部に作る。
俺は一年目は大学の図書館で、2年目は近所の図書館、3年目は近所の大学の図書館に通っていた。
勉強場所に移動する工程は気分転換にもなるから、外に出よう。
仮想敵を作る
外部の勉強場所に通っていると同じように勉強している人が見つかる。
そいつを勝手に仮想敵にすることで自分を奮い立たせる。
勉強に区切りをつけない一段落しない
今日はここまでってするとその日は勉強しなくなるから、中途半端なところで切る。
パソコンでいうところのシャットダウンするのではなく、スタンバイモードを維持していつでも再開できるような精神状況を保つ。
常に公務員試験問題集を片手に持つ
勉強に飽きてコンビニに向かうときも問題集を進める。
コンビニのイートインスペースで食べながら問題集を進める。
外のベンチに座りながら問題集を進める。
テレビのCMの合間に問題集を進める。
うんこしながら問題集を進める。
寝る前の布団の中で問題集を進める。
ながらで問題集を進めることで辛さが和らぐ。
問題集を3周してボロボロにする
問題集はとにかく2週する。それでも絶対に忘れる。
まず2週して、2周したときに答えられなかったページの角を折っておく。3週目は2週目で答えられなかったところだけを進める。
勉強した充実感を得るために参考書はボロボロにしていい。綺麗な参考書は勉強が足りてない目安にもなる。
自分のスタイルを確立する
自分の勉強スタイルが確立できればあとは惰性で勉強できる。確立できるまで頑張る。
公務員試験勉強してよかったこと
最後に、今では公務員を辞めたけど、公務員試験を勉強したのはかなり自分にとってプラスになったと感じている。
ニュースが完璧に理解できるようになる
公務員試験で勉強する科目は中学高校で勉強する世界史とか日本史と違って実用的で、今後の人生で役に立つ科目ばかりだ。
科目数が多いから世間一般の人よりも多くの知識が身に付くし、特に効果を感じるのはニュースが完璧に理解できるようになることだ。
衆議院と参議院の違い、各国政府の違いと特徴、経済政策の意味と狙い、一般会計と特別会計の違いまで、多くの人が漠然としか理解していないことをしっかりと理解できる。
その分漠然としか理解していない人と意見が合わなくなるけど、正しいのはこっちだから気にしない。
自分の頭の程度が知れる
これは良くも悪くもなんだけど、俺は人生で公務員試験ほど本気になったものはない。全力で取り組んでも俺には合格できない試験があるし、俺が合格できない試験を合格している人がいるという事実を突きつけられる。
人生は勉強が全てじゃないけど、少なくとも勉強という分野での自分の頭の程度を知る。すごい人を素直に尊敬できるようになるし、やればできるけどやってないだけなんて口が裂けても言えなくなる。
とりあえず合格しよう
今公務員試験を勉強している人は、例え公務員になれなかったとしても公務員試験勉強は無駄にはならないし、世間の人が知らない教養を身に着けることに誇りを感じてほしい。
とは言えこれは公務員になってから辞める選択をしたから言えることだとも思えるから、勉強するなら公務員にならないと意味がない。
今勉強している人は人生の岐路になるかもしれない試験に本気で取り組めているか自分に問いながら、試験に落ちて絶望した時のことを考えて全力で取り組んで欲しい。
公務員試験勉強は予備校に通うべき
自分で勉強するよりまず人に教えてもらう方が遥かに楽だから合格したいなら通う。
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プロフィールにも書いているけど俺は元国家Ⅱ種(一般職)公務員で、大学卒業後に霞ヶ関の本省に入省した。 本省に入省してから2年後に退職、その後大阪で自由人になってから、東京の民間企業2社で営業職勤務を経 ...
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