普段こういう記事は書かないんだけど、公開を待ちに待った話題の映画「ジョーカー」を見てきたから珍しく映画の感想を書こうと思う。今回は俺がなぜ「ジョーカー」にピンと来なかったのかをまとめる。
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ジョーカーのPVは最高の出来栄え
そもそもジョーカーという映画に俺が期待したのはPVの出来が最高だったからなんだ。
全体の統一感と物静かな音楽と哀愁漂うPVの完成度が高くて、久しぶりに映画館に足を運んで映画を見たいと思わされた。
というのも広告が半端ない。ツイッターでもYoutubeでも最近の広告はジョーカー一色。これは配給もやる気だ。事前評判も高すぎるぐらいに高い。とんでもない名作の可能性があるのであれば映画館で見るしかない。
ということでフリーランスのメリットを最大限活かして公開4日目の比較的空いているであろう平日に映画館に足を運んだ。
ジョーカーの序盤から漂う古臭い雰囲気
ところが映画が始まってからはかなり面食らう。オープニングのタイトルから音楽に至るまでとにかく古臭い。もちろんこれは映画の時代背景を伝える演出なんだけど、この古臭さは演出が故に全編続く。
例えその映画の時代背景に合わせるためだとしても、俺からしたら古臭い=ダサい・安っぽい演出でしかなくて、始まった瞬間から少し身構える。おかしい。PVの雰囲気と全然違う。いや待てまだ開始1分だ。大丈夫。大丈夫。
ジョーカーは全編で音楽が鳴りやまない構成
映画が開始してからはすぐにPVの中でもあった主人公が不良に看板でぶちのめされるシーンになる。そのあとも主人公は何もかもがうまくいかない展開が続くんだけど、見てる途中で音楽がやたらうるさいことに気付く。
もちろん映画館だから音量が大きいのは当然なんだけど、この映画は陰鬱な雰囲気を演出するために四六時中陰鬱なBGMを流していた。
陰鬱さを表現するためのBGMが過剰
俺だってジョーカーというキャラクターの設定ぐらいは知ってるし、主人公の未来が明るくないのはわかっている。それにしても別の意味で見てる側を不快にさせるほどオーバーにBGMで陰鬱さを表現する必要があったのかは謎。まるで静寂を恐れる大学生サークルのようにBGMは全編でほぼ鳴りやまない。
繰り返しになるけどジョーカーは主人公の失敗→主人公の失敗→主人公の失敗で主人公が闇落ちしていくストーリーなんだけど、失敗のたびにBGMの音量が大きくなる。そして次の失敗まで静かにBGMが続いて、次の失敗でまたBGMが大きくなるという繰り返し。静寂が無いと派手な音楽は引き立たないのにジョーカーには全然静寂が無い。
ホアキンフェニックスの怪演と引き換えの冗長さ
話題になっているホアキンフェニックス(ジョーカー)の演技は確かに見事。見事なんだけど、今作のジョーカーは不安定になると笑いだす精神病を患っている設定で、爆笑しているシーンが多い。この爆笑シーンは「悲しみながら笑っている」とか色々絶賛されていてそれはそれで間違いないんだけど、それにしても笑ってるシーンが長くて多過ぎ。
ホアキンの笑い方も独特で、制作側としても笑い声の不気味さを印象付けたかったんだろうけど、もう少し要所要所に配して減らすことはできなかったのか。作中のBGMもそうなんだけど笑い声も多過ぎ、長すぎの傾向で、見てる側としては次の展開へ進んでほしいのに、主人公の笑い待ちが長くて辛い。
ジョーカーになるのも納得のストーリー展開
それでも、主人公が闇落ちしていく展開はよくできている。色んな失敗、みんなからの嫌がらせ、失業と主人公の不幸が続く中、唯一の理解者である母の危篤とそれを看病する主人公という命綱を作る。そして最後に、実は母の過去の虐待が自らの精神病の原因だった事実を知ることで、精神的支えだった母をも憎んで全ての命綱が断ち切られる展開は素晴らしい。
ここまで綺麗に失うものが無い人間を作り出す展開は見事だし、これは俺でも闇落ちしてジョーカーになるなと納得させられる説得力があった。
ストーリー展開は全編で裏切りの無い一本道
ただ惜しかったのはストーリーに大きな裏切りも展開のメリハリも無かったことだった。ジョーカーはジョーカーが闇落ちする映画だから当然といえば当然なんだけど、全編を通して主人公の不幸が続くばかりで大きな裏切りが無い。ひたすら悪い方向に話が進む。見てる側としても完全に予定調和で、最初から最後まで特に裏切りが無かったのは残念。
途中黒人女性との恋愛が主人公の妄想だったという裏切りは一応あって、それによってジョーカーは相談する相手を失って勢いのまま母を殺める。とはいえ黒人女性とはそもそもの絡みが不自然で、見てる側としても「なんで?なんで?」の連続だった。結局頭が追い付く前に不自然な恋愛は妄想で片付けられてしまってずっしり来なかった。
ジョーカーのPVは最高
という感じでジョーカーはストーリーはよくできてるんだけど、結構うるさいBGMとか長い笑い声、謎のダンスとか冗長なシーンも多い。俺が期待しすぎていたのもあるけど、普通に一回見れば十分で、二回目を見たいと思える映画では無かった。
古くささもなく静寂とメリハリもあるPVの完成度があまりにも高すぎた。PVだけで終わっとけば満点だった。
映画の感想は千差万別
「あの映画を見てないなんて人生の半分損してる」みたいなことを言う残り5割の人生が薄っぺらい馬鹿がたまにいるけど実は映画の評価に正解は無い。
映画の評価は個々人の人生経験による
映画は見る人の人生経験によって大きく感想が分かれる。早くに親を亡くしていれば、親を亡くす主人公の痛みがわかるし、いじめられた過去があれば、いじめられている主人公の辛さがわかる。
逆に言うなら自分が悩まないことで苦悩する主人公に感情移入するのは難しいから面白さが理解できなくなる。映画の感想は千差万別だ。
映画は楽しんだもん勝ち
例え主人公の苦悩が理解できなかったとしても他人の人生を短時間で追体験できるのも映画の魅力。
基本的に映画は他人の評価があてにならないし楽しんだもん勝ちというジャンルだから、誰の感想にも間違いはない。
その映画を楽しめなかったとしてもそれはそれで一つの立派な感想だから自分の感想を大切にしてほしい。
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