意図せず所得隠しをしていたことに気付いて、税務署で人生初の修正申告をしてきた。今回は俺が修正申告をすべきかどうか悩みに悩んだ過程をまとめる。今税務署に申告していない所得があって、税金を払うべきかどうかを迷っている人の参考になればうれしい。
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人生初の確定申告をしてきた
先日記事にした通り、俺は2019年の3月に独立してフリーランスになった。フリーランスは思っているほど自由でも楽でもないなというのが現時点の感想ではあるけどそれはいいとして、同じく2019年の3月に人生初の確定申告をしてきた。
独立にあたって税金を学習した
ガジェマガの収入は去年の11月ごろから20万前後を漂うようになっていて、副業としてはちょっとした収入になっていた。法律には年間所得が20万円を上回る場合の確定申告が義務付けられているから俺も対象になる。ということで、人生で初めて税金の仕組みを必死に勉強して確定申告を行ってきた。
税金に真剣に向き合うようになった
人生初の確定申告を行うために税金の勉強をしたことで、今まで意識しなかった税金に真剣に向き合うようになった。更に税金の仕組みがよくわかったと同時に、確定申告しなかった場合のリスクも見えるようになった。
2017年までは無意識に所得隠しをしていた
確定申告で税金について学習したことで、過去の申告していない所得が気になるようになった。あれ、そういえば2017以前にも申告していない所得がある。これって大丈夫なんだろうかとモヤモヤするようになっていた。
ガジェマガ以外の副業の収入を申告していなかった
実は俺はガジェマガ以外にも色々な副業に手を出しては失敗して、を繰り返しているんだけど、中にはちょっとした収入になったものもあった。もちろんその収入は今回修正申告を行うまで申告していなかった。
ただ、当時の俺に所得隠しをしているという意識も罪悪感もなくて、ただ何も考えていなかった。
世の中は所得隠しをしている人だらけ
俺は一例に過ぎないだけで、おそらく日本は意識的なり無意識的なりに所得隠しをしている人で溢れている。
日本人には税金を納める文化が無い
多くの人が会社勤めをしていて、税金が給料から天引きされるのが一般的な日本人は、そもそも自ら税金を納める文化がない。え、確定申告ってなに?という感じ。
多くの会社が副業を禁止している
終身雇用制度が売りの日本の多くの会社は副業を禁止している。副業が禁止されている中で副業をしている人が副業の所得を税務署に申告するわけにもいかず、結果的に所得隠しをしてしまっているというパターンも多い。
ちなみに、会社に副業を隠したい場合は自分で住民税を払うという手段があるけど、その話はブレるからしない。
月10万円の収入隠しした場合の課税額は5年で約100万円
例として、毎月10万円の副業収入がある人が税務調査を受けた場合の追徴課税額を含む課税額は5年で約100万円にもなる。
所得税だけで34.1万円
この場合の追徴課税は所得税だけで34.1万円にもなる。しかもこの他に住民税と健康保険も同じくらい上乗せされるから合計で100万円くらい。
追徴課税の計算方法
詳細な計算方法は下記。めんどくさい人は読み飛ばしてOK。
年間所得は82万円
- 副業収入月10万円 × 12か月 = 総収入120万円
- 総収入120万円 - 基礎控除38万円 = 所得82万円
毎月10万円の副業収入があれば年間収入は120万円。基礎控除の38万円を引いて、最大で82万円の所得を毎年隠していたことになる。
本来の所得税は5年で20.5万円
所得金額が82万円であれば、本来収める所得税額は4.1万円。5年間で20.5万円が本来の税金だ。これを5年間隠し続けると下記の加算税が上乗せされる。
未払いの税金には無申告加算税が上乗せ
- 本来の税額4.1万円 × 無申告加算税10% = 0.41万円
- = 合計4.51万円
税金を申告していなかった場合、税金50万円以下については10%の無申告加算税の0.41万円が上乗せされて、所得税額の合計は4.1万円から4.51万円になる。
未払いの税額は14.6%の延滞税で複利運用される
納付期限を2か月以上超過している税金には年間14.6%の延滞税が上乗せされる。各年の税金4.51万円を14.6%の延滞税で運用するとこうなる。
- 去年の税金4.51万円 × 延滞税率1年分1.146倍 = 5.1万円
- 2年前の4.51万円 × 延滞税率2年分1.313倍 = 5.7万円
- 3年前の4.51万円 × 延滞税率3年分1.505倍 = 6.7万円
- 4年前の4.51万円 × 延滞税率4年分1.724倍 = 7.7万円
- 5年前の4.51万円 × 延滞税率5年分1.977倍 = 8.9万円
- 5年合計34.1万円
所得税は13.6万円も上乗せされる
本来であれば5年で20.5万円で済んだ所得税を申告しなかったことで合計34.1万円まで膨れ上がる。13.6万円も多く払わないといけない。
住民税と健康保険料も上乗せ
また、冒頭でも解説したように、これは所得税に限った計算で、住民税と健康保険料も同じように上乗せされるから、合計で約100万円の追徴課税を課される。
収入金額が増えれば2次関数的に税額も増える
今回は月10万円の副業収入を想定した。ただ、税金は収入が多ければ2次関数的に増える。
今回は月10万円の収入を想定したから追徴課税は5年で100万円で済むけど、月20万円の副業収入がある場合の追徴課税は5年で300万円を上回る。
自主申告なら無申告加算税は5%で済む
税務署に指摘されてから支払った場合は50万円以下なら10%の無申告加算税が課されるのに対して、自主申告した場合は5%になる。自分から払えば無申告加算税は少なくなるし、早く払えば延滞税は少なくなる。自首を促すシステムだ。
税務署が調査対象を選ぶ基準
でも来ないっしょ税務署なんて。という主張も分かる。税務職員にも追徴課税額のノルマがあるから、なるべく追徴課税額が大きなターゲットを狙うのは当然。実際に9割の人に税務調査は来ない。バレずに終了。
税務調査の基準は恐らく手間と労力
税務調査の基準は本当に謎。グーグルのアルゴリズムと同じで公開されていない。ただ、うちの親のように、少額の無申告で税務署から呼び出されるというケースもある。
これはあくまでも想像だけど、税務署が調査対象を選ぶ基準は見込み追徴課税額とそれにかかる手間を天秤にかけて検討している。というか俺が税務職員ならそうする。
株、FX、仮想通過、アフィリエイトは簡単
株取引での利益のように、口座を確認すれば収入隠しが一目瞭然なら手間が少ないから少額でも調査する。調査と言っても電話一本で税務署に呼び出して1時間会話して終了。手間が少ない。
逆に調査に手間がかかりそうな人ならそこそこの追徴課税が見込めないなら後回しにする。
俺が過去の収入の修正申告を決断した理由
そもそも納税は国民の義務なんだから、気付いた時点で修正申告するのは当然なんだけど、ここでは綺麗ごとは置いておく。
納税は時間的、金銭的損失
税金の支払いはとにかく手間だ。収入を洗い出して、経費を確認して、有料ソフトを購入して数値を入力して、やっと税額が決まって払える。時間と労力注ぎ込んだ結果が納税だなんて俺はドMか。
フリーランスにとっての納税は時間的にも金銭的にも大きな損失だ。
不安を煽る追徴課税システム
だからこそ納税者にやる気をだしてもらうために追徴課税額は厳しい水準になっている。早めに自白した方が身のためだよ?というからくりだ。
今回初の確定申告で税金に向き合った結果、俺は不安で眠れなくなった。毎日税金を払うべきかこのまま無視するべきかで頭がいっぱいになった。
思考が奪われるという大きな損失
結果的に俺が納税する道を選んだ最大の理由はこれ。納税すべきかどうかを悩む時間が無駄だと感じたから。
というか人は悩みの種があるとそればかりを考えるようになって思考を奪われる。フリーランスになろうとしていたことで、他にも考えないといけないことがたくさんあったのに、納税するかどうかに頭が支配されていることが大きな損失だと感じた。
人を信じられなくなるという損失
納税していないことで、少なからず悪事に手を染めているという自覚が芽生えてしまうと他人からの告発が怖くなって人を信用できなくなる。悪人が孤独になる心境がよくわかった。
払ってしまった方がマシ
納税に思考を奪われて誰も信用できなくなるくらいなら払ってしまった方がマシだと考えた。
この記事に辿り着く人は修正申告するべき人
税金に関しては完全に個人の問題だから他人が口を出すことでもない。バレたら最悪だけど、バレなければラッキー。完全に自己責任だから賭けに出るも出ないも個人の自由だし何も言う気はない。
ただ、税金のことで悩むのは時間と思考の無駄だし、人を信用できなくなるし、デメリットだらけ。思考は税金を払わないことよりもお金を稼ぐ方法を考えることに使いたい。
つまり、税金を払うべきかどうか悩んでこの記事に辿り着くような真人間ならおとなしく払う道を選んだほうが身のためだと思う。