BALMUDA Phoneが発売されてそのあまりのコスパの悪さで話題になっている。
個人的にはこのスマホは検証するまでもない完全なるゴミだと思っているんだけど、そもそもなぜこんなゴミを発売したのか、BALMUDAの狙いはなんなのかというのが気になった。
ということで今回はBALMUDA Phoneがどうゴミなのか、そもそもの存在意義はなんなのかというのを俺なりに深堀りしたい。
この記事の目次(クリックでジャンプ)
BALMUDAとは
そもそもBALMUDAとはということからになる。バルミューダはスタイリッシュなデザインの家電製品を販売する家電メーカーで、主力商品は扇風機とかトースター、スピーカーなど、製品数は少ないながら、多くのジャンルに進出している多角経営企業だ。
最大の特徴は自社工場を持たないファブレス企業であることで、今回のBALMUDA Phoneも生産は京セラが担当していたりする。
つまりBALMUDAは製品のデザイン及び設計とマーケティングを担当するのみで固定費が少ないのが強み。
シェアを取らない、という戦略
更にBALMUDAは敢えてシェアを取らないという独自の戦略を取っていて、決算資料を見ても最大シェアのトースターで5.3%と超少ない。
その代わり他社製品と比較しても圧倒的に高い価格帯によって利益を確保しているのが特徴。特に扇風機なんかは他社平均価格の15倍程の価格で販売している。
高い物を少なく売るという薄利多売とは真逆の戦略で成長しているのがバルミューダなんだ。そんな会社が出すスマホがどうなるのかということで今回注目が集まった。
BALMUDA Phoneはゴミ
最初にも書いた通りバルミューダスマホは完全なるゴミなんだけど、その理由は去年発売されたスマホよりショボいのに値段が高いから。
Pixel 4a 5Gなら6万円
具体的に去年発売されたPixel 4a 5gと比較した表が下記なんだけど、
BALMUDA Phone | Pixel 4a 5G | |
ディスプレイ | 4.9 | 6.24(有機EL) |
解像度 | 1920x1080 | 2340x1080 |
CPU | Snapdragon765 | Snapdragon765G |
メモリ | 6 | 6 |
ストレージ | 128 | 128 |
バッテリー | 2500(Qi) | 3885 |
セキュリティ | 指紋 | 指紋 |
おサイフ | 〇 | ○ |
防水 | IP44 | × |
デュアルSIM | × | △(eSIM) |
重量 | 138 | 168 |
サイズ | 69x123x13.7 | 74.0x153.9x8.2 |
価格(税込) | 104,800円(公式) 143,280円(ソフトバンク) |
60,500円 |
BALMUDA Phoneが上回っているのは重量と無線充電だけ。それでいて値段は4万円も高い。
Reno 5Aなら5万円
更に下記が現行機のReno 5Aとの比較なんだけど
BALMUDA Phone | Reno 5A | |
ディスプレイ | 4.9 | 6.55(90Hz) |
解像度 | 1920x1080 | 2400x1080 |
CPU | Snapdragon765 | Snapdragon765G |
メモリ | 6 | 6 |
ストレージ | 128 | 128 |
バッテリー | 2500(Qi) | 4000 |
セキュリティ | 指紋 | 指紋/顔 |
おサイフ | 〇 | 〇 |
防水 | IP44 | IP68 |
デュアルSIM | × | 〇 |
重量 | 138 | 182 |
サイズ | 69x123x13.7 | 74.6 x 162 x 8.2 |
価格(税込) | 104,800円(公式) 143,280円(ソフトバンク) |
54,800円 |
これもBALMUDA Phoneが上回っているのは重量と無線充電のみ。それでいて5万円も高い。
BALMUDA Phoneはスマホ単体で見ても
- 分厚過ぎ 1.3センチ
- 2500mAhは少なすぎ
- 背面がプラスチック
- スピーカーがシングル
- ディスプレイが液晶の60Hz
- デュアルSIM非対応
- 防水もほぼ非対応
- カメラはシングル
と欠点だらけ。BALMUDA Phoneは絶対的な後悔が保証されたスマホなんだ。
市場に存在価値が無い
というか10万円も出せばPixel 6(74,800円)だってiPhone13 mini(86,800円)だって射程に入る。そんな中で敢えてBALMUDA Phoneを選ぶ理由があるだろうか。いやない(反語)
しかもそれらのスマホと比較した強みがBALMUDA Phoneにはない。だからゴミ。市場に存在意義が無いスマホ、それがBALMUDA Phoneだ。
BALMUDA Phoneの戦略
とはいえそんなことは今までマーケティングで生きてきたBALMUDAはお見通しのはず。我が社の製品はゴミである。BALMUDAもそれをわかって発売している。
だから重要なのはBALMUDA Phoneがどうゴミなのかではなく、なぜゴミを発売するのかということなんだ。
とはいえそれは最初に説明したバルミューダの戦略通りでそれ以上でも以下でもない。
2020年12月の決算で予告していた通り、BALMUDAは売り上げを上乗せするために新ジャンルの製品を発売することを会社の成長戦略として掲げていた。
その新ジャンルの一つがBALMUDA Phoneだったというだけの話。
更にこれも最初に説明した通り、BALMUDAはそもそもシェアを取る気が無い。高い製品を少ないユーザーに買わせることで確実に黒字化する戦略も今まで通り。
つまりBALMUDAとしては何も変わっていない。今まで通りデザインが良く値段が高い製品を発売しているだけ。
スマホ参入の広告効果は抜群
しかもスマホとなると注目度は白物家電とは段違い。スマホは全日本人の生活に欠かせないデバイスだから話題にせざるを得ない。
俺もこうして自主的にバルミューダを紹介してしまっている始末で広告効果は抜群。今回のスマホ参入で多くの人がBALMUDAの名前を知ることになった。
BALMUDA Phoneのターゲットは情弱
ただ、今回はスマホなのが厄介だった。スマホは今までの白物家電と違って数値で明確に良し悪しを判断されてしまう。実際BALMUDA Phoneはカタログスペックの段階でこんなもん誰が買うんだよという声が噴出しまくっていた。
それを肯定するようにBALMUDA寺尾社長もBALMUDA Phoneのターゲットを
「我々はスマホの画面を見るために生きているのではない。すてきな人生を送るために生きているのであって、スマホはあくまでもそのための補助をする道具だ」
「スマホは人がよりよく生きるための補助道具だと考えている。この考えが少しでも気になって、耳を傾けて、手に取っていただける方が購入の候補に入ると思う」
とスマホの利用時間が少ない情弱を名指しにしている。つまりスマホの価値もわからない馬鹿にゴミを売りつけようというのがBALMUDA Phoneの狙いだ。
ソフトバンクとタッグを組んで販売
こんなものを発売してしまうと俺みたいなスマホオタクにゴミだゴミだと騒がれて売れないリスクも伴うんだけど、バルミューダはそれもお見通し。
どうせまともに戦っても売れないと分かっているからソフトバンクとがっちりと手を組んでしまった。俺みたいなスマホオタクはそもそもターゲットじゃない。
しかもスマホの売り上げ目標もいつもの戦略通りで27億円と超絶少ない。これはスマホの台数になおすとたったの27,000台にしかならない。
いくらBALMUDA Phoneが正真正銘のゴミだとしてもソフトバンクの営業力をもってすれば27,000台なんて余裕。更にソフトバンク版は14万円という暴利っぷりで鬼に金棒状態。
つまりオタクがゴミだゴミだと騒いだところでBALMUDA Phoneはしっかりと売り上げ目標を達成するし利益にもなる。
BALMUDAにとってはメリットしかない最強の広告塔がBALMUDA Phoneの正体なんだ。全ては計算済みだった。
スマホはカタログで判断できる製品
という感じでBALMUDA Phoneの戦略は見事。どうせ情弱は助けたところで別の誰かに搾取される。なら俺が搾取した方がいいという考えには心から賛同するし、それを綿密に計画して実行する手腕も凄い。
更に話題にもなって広告効果も抜群。例えスマホオタクとか知識層にBALMUDA Phoneがゴミだゴミだと騒がれたところで痛くも痒くもない。
なぜならBALMUDA Phoneを買うのはYoutubeとかブログとかTwitterで調べもせずに、ソフトバンクに足を運んで店員の言われるがままにスマホを購入する無知な弱者だから。
ゴミだと知ってる人はBALMUDA Phoneを買わないし、BALMUDA Phone購入者はゴミを掴まされた事に気付かない。
誰も幸せにならない製品
とはいえBALMUDA Phoneが誰も幸せにしない商品なのも間違いない。シンプルに情報の不平等性に付け込んで弱者から搾取してるだけ。他にもっと安くて良い製品があるのにBALMUDA Phoneが売れるのは市場の歪みでしかない。
そしてBALMUDA Phoneによってバルミューダの知名度は間違いなく上がるとは思うけど、その分BALMUDAはそういう会社だという印象を持つ人も増える。俺もその一人。
高いけど物は良い、という今までのイメージは、ゴミを高値で売る会社に一変した。このイメージがBALMUDA Phoneのみに留まればまだ良いけど、万が一過去の白物家電にまで波及すればバルミューダの命運を分けかねない。
その意味で俺は今回のBALMUDA Phoneは悪手だったと思う。悪名が無名に勝るか、無名のままの方が良かったかは今後のバルミューダの展開に注目したい。
BALMUDA Phoneに続編はない
もう一つ言うならBALMUDA Phoneに続編はない。なぜならバレたから。そしてまだ気づいていないソフトバンクショップでBALMUDA Phoneを購入する情弱も徐々に気付くから。だから次回は売れない。BALMUDA Phoneは売り切りの逃げ切りビジネスになる。
そしてバルミューダの戦略的にもコスパでの戦いは絶対にない。だからBALMUDA PhoneはマジでBALMUDAの広告塔としての役割だけを果たして1代で消えていく。伝説のスマホになる可能性があるという意味で、プレミアに期待する人は購入してもいいかもしれない。
それ以外はいかなる人にもおすすめはしない。とはいえこの記事に辿り着くような人はターゲットじゃないからこの忠告も徒労に終わる。どう転んでも情弱は救えないという話。