ありがたいことに今年の売上が当初の予想を上回っていて、多分2000万くらいに落ち着きそうなんだけど、そうなると怖いのが税金だから、今年2回目となる税理士事務所への相談に行ってきた。
今年の年商が2000万超えそうだからもう一回税理士に相談しに行くことにする。以前行ったときは所得800万ちょっとの前提だったから、消費税優遇制度を活用するために来年末の法人化がおすすめって言われたけど所得1500万くらい行きそう。想像以上に増えてて自分でもどうしたらいいのかわからん税金怖い
— トーマス@ガジェマガ(バイク日本一周中) (@gadgetKaeru) July 24, 2020
学んだことを忘れないためにも法人化するべきかどうかを改めてこの記事を書きながら検討する。
具体的な月ごとの収入は収益カテゴリでまとめているから気になる人は確認してほしい。⇒ 収益カテゴリ
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前回の記事の間違い
実は法人化について検討するのはこれが2回目で、前回の相談時も学習したことを記事にしているんだけど、間違いが2点あった。
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【法人化と税金対策】月収100万円を超えて感じるフリーランスの悩み
ありがたいことに最近ブログとYoutubeの収入を併せて月収で100万を超えるようになった。俺にとって月収100万円は一つの目標だったから個人的にはかなり嬉しいんだけど、反面月収100万を超えたことで ...
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具体的には下記。
- 消費税の支払いは2年後
- 消費税は売上でなく利益にかかる
消費税の支払いは2年後
売上が1000万を超えるとその2年後に消費税がかかるというのは正しいんだけど、その消費税は2年前の売り上げに対してではなく、その年の売上にかかる。
つまり1000万円を超えた段階で課税事業者として登録されて、その2年後にその年の売上に対する消費税の支払い義務が発生する。
消費税は売上でなく利益にかかる
もう一点が消費税は売上ではなく利益にかかるということなんだ。具体的には下記。
■売上1000万 消費税支払い義務あり
売上1000万ー経費500万=所得500万
× 消費税100万(売上×10%)
○ 消費税50万 (所得×10%)
経費の500万で俺も消費税を支払ってるわけだから、その部分の消費税の納税は不要。厳密には経費でも減価償却とか給料とか家賃に消費税は含まれないから微妙に変わるんだけどだいたいこんな感じ。
つまり消費税のインパクトは俺が想像しているよりも小さかった。
利益1500万の個人と法人が払う税額
俺が法人成りを検討している最大の理由は節税なんだ。で、結論から言うと下記で、法人化した方が微妙に税金が安くなる。
- 個人所得1500万 ⇒ 合計税額等560万円
- 個人給与1500万・法人利益0円 ⇒ 合計税額等680万円
- 個人給与400万・法人利益1100万 ⇒ 合計税額等540万円
所得1500万円の個人事業主が払う税額
まず俺がこのまま個人事業主として売上2000万、所得1500万で推移した場合の税金を洗い出したものが下記。
税額等560万内訳(年額)
- 所得税 320万円
- 住民税 140万円
- 国民健康保険料 80万
- 国民年金 20万
- 合計 560万
なるほどこのまま行くと俺は来年は560万円も国にお金を払うことになる。ざっくり400万くらいかと思ってたけど全然多くて死ぬ。
ただ、所得1500万で税金560万ならその税率は38%で、約40%だと思ってた割には安い(白目)
個人給与1500万・法人利益0円が払う税額
次に法人化した上で利益の1500万円をそっくりそのまま俺の給与にしたケースを検討する。
俺の給与と会社の利益は下記。
法人売上 2,000万
- 経費 500万
- 俺の給与 1500万
= 法人利益 0円
この場合の支払い税額等680万円の内訳は下記。
税額等680万内訳(年額)
法人の税金
- 法人住民税 7万円
- 法人税 0円(利益0円)
- 税理士事務所契約料 50万円
役員(俺)の税金(給与所得1500万円)
- 所得税 240万円
- 住民税 120万円
- 健康保険料 128万円(協会けんぽ)
- 厚生年金 135万円
利益の1500万円全てを給与として受け取った場合、法人の利益は無いから法人税は0円で、かかるのは法人住民税の7万円のみ。ただし、税理士事務所の契約で年間50万円がかかる。高い。
1500万を役員報酬として受け取ると給与所得控除の-220万を受けられるから実際の給与は1280万で月に均すと106万円。その分所得税と住民税は少し下がるんだけど、法人化によって健康保険料と厚生年金保険料が爆上がりする。
この辺り本来は会社が社会保険料として半分出してくれるんだけど、個人が法人成りするということは会社も俺だから普通に高い。社員を雇う経費ってこんなにえぐいのね。
個人給与400万・法人利益1100万が払う税額
次に法人化した上で利益の1500万の内400万を俺の給与にしたケースを検討する。
法人売上 2,000万
- 経費 500万
- 俺の給与 400万
= 法人利益 1100万
この場合の支払い税額等540万円の内訳は下記。
税額等540万内訳(年額)
法人の税金(利益1,100万)
- 法人住民税 7万円
- 法人税 330万(約3割)
- 税理士事務所契約料 50万円
役員(俺)の税金(給与所得400万)
- 所得税 13万円
- 住民税 26万円
- 健康保険料 40万円(協会けんぽ)
- 厚生年金 74万円
給与所得として400万を受け取った場合法人の利益は1100万円で、法人税は約3割の約330万円。そこに法人住民税7万円と税理士事務所契約料50万円がかかる。
逆に個人にかかる税金は合計153万円と劇的に安くなる。合わせて540万円。個人事業主の税額560万円より20万円安くなった。
消費税が法人化の分かれ目
どう転んでも税額500万円からは逃れられないらしい。それはもう諦めるとして、ここからは消費税を加味していく。
今までの税額等の計算に消費税額を追加すると下記。
■個人所得1500万
⇒ 合計税額等560万円
+ 消費税150万円
合計710万円
■個人給与1500万・法人利益0円
⇒ 合計税額等680万円
+ 消費税150万円
合計830万円 ←悪手
■個人給与400万・法人利益1100万
⇒ 合計税額等540万円
+ 消費税150万円
合計690万円
法人利益を0円にするのはどのパターンでも税金が高い悪手だからNG。消費税を加味すると法人の税額が最も少ない。やっぱり節税のために法人化は必須だった。
やるなら「個人給与400万・法人利益1100万」を狙うしかない。
消費税を3年後に払うか、4年後に払うか
問題はいつ法人化するかなんだ。完全に振出しに戻った。
繰り返しになるけど売上が1000万を超えたら課税事業者になるからその翌々年から消費税の支払い義務が発生する。
ただ、法人化するとカウントがリセットされるから、個人で2年+法人で2年の4年後まで消費税の支払いを先延ばし可能。これが俺が今年の法人化を躊躇している理由だった。
法人化は絶対するとして、今年度末か来年度末かが勝負の分かれ目。
4年トータルの税額差は130万円
来年以降も同じ稼ぎだと仮定するのであれば、今年度末法人化した場合と来年度末法人化した場合のこの先4年間の支払い税額は下記。
今年度末に法人化する場合
- 今年の税額560万円(個人事業主)
- 来年の税額540万円(法人)
- 3年後の税額540万円(法人)
- 4年後の税額690万円(法人+消費税)
- 合計税額2,330万円
来年度末に法人化する場合
- 今年の税額560万円(個人事業主)
- 来年の税額560万円(個人事業主)
- 3年後の税額540万円(法人)
- 4年後の税額540万円(法人)
- 合計税額2200万円
今年法人化するか来年法人化するかの税金差額は130万円と意外と小さかった。いや十分デカいけど割合にすると6%。
もちろん4年後の収入にもよるし一概には言えないというか、4年後もYoutubeとブログをやってる自分の姿を想像は出来ないけど、6%のためにこれだけ悩むのってアホらしい気もする。
法人化の節税メリット
今年末の法人化と来年末の法人化による税額の差は130万でした、おしまい。だと意味がない。
法人化には節税以外にも経費の幅が広がるメリットがある。つまり法人化によって税金130万の差額を埋められるなら法人化しない理由がない。ここからはそれを考える。
130万を節税するための経費は433万
法人税は30%だから130万を節税するために必要な経費は433万円。法人化によって4年で433万を追加で経費にできるなら法人化しても良い計算になる。
で、ざっくり法人化で追加できる経費があるとすれば下記。
- 社宅の家賃(4年96万の追加経費)
- 親族への役員報酬(4年348万の追加経費)
- 車両の購入
- 事業としての投資
社宅の家賃(4年96万の追加経費)
法人化して賃貸を社宅として契約することで家賃の半額を経費にできる。更に家の中の事業所として使う割合分も追加で経費にできる。
具体的には下記。
Youtuberが広い家を借りて無駄に撮影部屋を作りまくるのは家賃のほとんどを経費にするためなんだ。
で、今の俺は個人事業主だから家賃8万の内4万を経費にしてるんだけど法人化すれば多分6万を経費にできる。微妙過ぎ。
それならいっそ家賃が高い家に引っ越した方がマシだけど、信用の無い一年目の法人に家を貸してくれるオーナーは少ない。うんこ。
親族への役員報酬(4年292万の追加経費)
法人化すれば自分以外を役員に加えることで役員報酬を経費にできる。
ただ、家族の役員化は税務署から目を付けられやすいらしく月5万円が安全ラインだとか。もちろん月5万円の役員にも社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務があるから追加で23,000円が必要。そのうち経費にできるのは半分だから役員報酬と合わせると月合計60,914円。
ただ、何らかの実態は必要だし、しかもこの5万円は親族のお金であって俺のお金ではないから節税の意味がない。ただ、家族には超感謝される多分。
車両の購入
法人名義で車両を購入すれば全額を経費計上することが可能。
430万の車両を購入してしまえば一発で130万の税金が浮く、300万を失うことで(倒置法)
それが必要な車両なら良いけど130万浮かせるために300万失っていらない車を買うようでは本末転倒。
事業としての投資
わかりやすいところで投資用不動産とかを会社の事業として購入すれば全額経費になる。多分現実的なのはここ。
法人化すれば出来ることは増える
まぁ結局法人化しようとしまいと4年で税額130万の差額でしかないから法人化したけりゃやれば良いって話。4年単位で考えれば130万は大きな金額じゃない。
但し法人化をしてしまうと一年目は信用が無いから思うように引っ越しできないのがネック。結局個人名義で借りることになると逆に家賃を一円も経費にできなくなる可能性すらある。
その意味ではとっとと法人化して気心知れた今の部屋のオーナーに法人名義への変更を受け入れてもらう方が賢いかもしれないとも思う。
個人で出来る節税はそのまま使える
あと俺個人はiDecoと小規模企業共済を駆使して月13万8千円を所得控除してるから更に税金は安くなる。
給与所得400万内訳
給与所得400万の税金(iDeco・小規模事業共済なし)
- 所得税 13万円
- 住民税 26万円
- 健康保険料 40万円(協会けんぽ)
- 厚生年金 74万円
- 合計153万円
給与所得400万の税金(iDeco・小規模事業共済あり)
- 所得税 3万円
- 住民税 7万円
- 健康保険料 40万円(協会けんぽ)
- 厚生年金 74万円
- 合計124万円
iDecoと小規模企業共済等の投資と節税について解説した記事は下記。
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節税のための経費は無駄
ただ、節税をするということはそれ以上にお金が出ていくということでもある。節税のために無駄な出費を増やしているようでは本末転倒。
やりたいことのための経費なのか節税のための経費なのかの見極めは重要。ということでもうちょい考える。