爆音のバイクうるせー頭おかしいんじゃねぇの?って思ってたんだけど、人は変わるもんで33歳にしてバイクを金にするために人生で初めてのマフラー交換をしてしまった。
マフラー交換はなにもかもが初めてだから超苦労した。というのもバイクって金にならないからウェブ上に情報がほとんど無い。
ということで今回は人生で初めてのマフラー交換をするにあたって俺が調べた、そもそものマフラーの違いとか、車検との関係、交換方法から必要な工具に至るまでの全てを解説する。
ちなみに俺は車検に対応したマフラーに交換している。
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車検非対応マフラーは法律違反
道路を運転していると毎日のように爆音マフラーの車とかバイクを見かけるから感覚が麻痺してる人も多いと思うけど、実は爆音マフラーはそのほとんどが道路運送車両法第108条違反に該当する。
つまり法律違反。
爆音マフラーを付けて公道を走行すること自体がアウトだし、最悪のケースでは警察に検挙されて、指導に従わない場合は「六ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金」という重めの罰則をくらう可能性もある。指導に従えばセーフ。
バイク屋での車検非対応マフラー交換は不可
しかも万が一爆音マフラーが検挙された場合は、乗り主だけでなくマフラーを取り付けたディーラーも罰せられる仕組み。
ディーラーとしてもそんなリスクを負うことはできないから、知名度があるまともなディーラーでは爆音マフラーの交換を一切受け付けてくれない。
つまりどうしても爆音マフラーに交換したい場合は個人経営の名も無きディーラーを探すか自分で取り付けるかの二択を迫られる。実は日本の爆音マフラーを取り巻く環境はかなり厳しい。
6月は爆音マフラーの規制強化・排除月間
爆音マフラーは法律違反に該当はするんだけど、ひとたび公道に出れば今も毎日のように多数の爆音マフラーのバイクとか車を見かけるのも事実。そして彼らは今日も明日も警察に検挙されること無く公道を走り続けている。
これは警察も暇じゃないからで、爆音マフラーって結局うるさいだけで危険性が無いから警察にとっても優先度が低い。スピード違反の方がよっぽど危険。
あと排ガスとか騒音を検査するためには専用の機材が必要で、警察もそんなものを常に携行はしていないから事実上公道の爆音マフラーは無視されている状況が続いている。
とはいえ警察としても爆音マフラーを完全にスルーしてしまっては世間に示しがつかないということで、毎年6月を規制強化・排除月間として爆音マフラーを積極的に取り締まる月と定めている。爆音マフラーを付けている人は6月は特に注意が必要。
警察官は爆音マフラーに好意的
面白いのが爆音マフラーを検挙する側の警察官が爆音マフラーに好意的な事で、なんだかんだ警察官は個人レベルでは車好きバイク好きが多くて、白バイに乗りたいがために警察を志願する人もいるほど。
爆音マフラーがこれだけスルーされているのは法の番人の趣味趣向によるところも少なからずある。結局法律を運用するのも人だった。
日本のマフラー規制は厳しすぎ?
繰り返しになるけど日本のマフラーの規制基準はマジで厳しい。やばい。多分世界一。
車検通過にはJASMA認証が必須
日本のマフラーの規制は音だけでなく排ガス基準もあるし、更に最近ではJASMAという日本マフラー協会的な機関の認証も必要になった。うんこ。
純正のマフラーでない場合は騒音規制と排ガス規制をクリアしていたとしてもJASMA認証が無いと車検に通らない。無理ゲー過ぎ。
車検対応マフラーなら交換する意味はないかも
じゃあ車検に通るマフラーに交換すればいいじゃないという気もするけど、車検の基準も激ヤバで、最新の車は純正のマフラーの音量を上回った時点でアウトになったりする。
例え最近の車じゃなかったとしても、音量にして90db前後の制限が付き纏うんだけど、この音量はマジで静か。車検に通るマフラーに交換するくらいなら、マフラーを交換する意味は無いかもしれないと思えるレベル。
この規制のお陰で日本は静かな道路と綺麗な青空が保たれているから制度の否定はできないんだけど、日本のマフラーの規制基準が世界一レベルで厳しいのは事実。
フルエキとスリップオンの違い
さて諸々のマフラーの基準は達成すると仮定して、実際にバイクのマフラーを交換する場合は、根本から交換するフルエキゾーストマフラーか、中間地点から交換するスリップオンマフラーのどちらかを選ぶことになる。
スリップオンは音と見た目だけ
スリップオンマフラーはその名前の通りではあるんだけど、中間地点からするりと差し込むだけのマフラーなんだ。スリップオンシューズと一緒で構造がシンプルで素人でも簡単に交換できるのが魅力。
スリップオンマフラーに交換することでバイクの見た目と音を変えることができる。あとフルエキゾーストマフラーと比べて安い。
フルエキゾーストは性能も上がる
逆に根本から交換するフルエキゾーストマフラーは、見た目と音と、更にバイクの出力も上げることができる。
とはいえ最近のバイクのエンジンはキャブレター式と違ってコンピューター制御だから素人にいじるのは無理。プロのレーサー向け。
素人がフルエキゾーストマフラーに交換する場合は根元から変わる見た目と音の違いを楽しむだけのものになる。あと根本から交換するから値段が高い。
バイクマフラー交換に必要な工具
ここからは俺が購入したスリップオンマフラー取り付けの手順と必要な工具と注意点を解説する。
繰り返しになるけど俺が購入したのは車検に対応したマフラーだけど大人の事情で見せることはできない。大人って複雑。
マフラー交換は工具が命
スリップオンマフラーの交換は素人でもできるくらい簡単ではあるんだけど、腐っても時速100キロを超えるバイクのネジが固くないわけが無いから、作業に当たってはなにより工具に拘ることが重要。
下手な工具だと力が入らずに全然ネジを緩められなかったりネジ穴を舐めてしまったりして作業が止まる。まずはそれなりの工具を購入することでヘビーなマフラー交換作業に備えたい。
俺が用意した工具は下記。
- ラチェットハンドル × 2
- エクステンションバー
- ソケットセット6角
- ソケットセット6角差込
- 556
- パーツクリーナー
- スプリングツール
- 液体ガスケット
- カッパーグリース
- センタースタンドストッパー
- ウェス(タオル)
まず何よりネジを緩めるためのパワーが必要だから、比較的長くて効率的にネジを回せるラチェットハンドルを2本とそれに対応するソケットセットを2種類購入。
これでも固くて歯が立たない場合はバイクに積載されている専用工具にこういうのがあるから、組み合わせてテコの原理で回す。
多分これならどんなネジも回る。
同じようにヘキサゴンレンチを持っている人はバイクの積載パーツと組み合わせれば回転力を付け足せる。
更にラチェットハンドルが入らない場合に備えてエクステンションバーを購入。
あとはネジが固くて動かない場合に備えて556と、油分をふき取るためのパーツクリーナー、取り付けたネジが熱で固着するのを防ぐカッパーグリースと、写真には写ってないけどマフラーの取り付け部分の隙間を防ぐ液体ガスケットも購入した。
556はネジ山部分に吹くと滑ってネジ山を舐めるから注意。ネジ山部分はパーツクリーナーで油を分解するのがおすすめ。
最後にマフラーにスプリングを取り付けるための専用工具のスプリングフックがコレ。
マジでバネが固すぎてこれが無いと歯が立たない。
バイクマフラー取り外しの手順
工具が揃えばあとは簡単。マフラーを止めてる全てのネジを外してマフラーを付け替えるだけ。
右側マフラーの取り外し
ZZR1400もしくはZX-14Rの場合は、マフラーを止めているネジは右が3か所、左が2か所の合計5か所。マフラーって意外と簡単な取り付けなのね。
まず右側はタンデムステップのすぐ下のこれ。
裏も表もネジだから両方のネジを抑えながらじゃないと緩められない。ここで2本購入したラチェットハンドルが活きた。
そしてブレーキステップのすぐ下のこれ。
これも裏表がネジだから両側から抑える。
最後にエキゾーストと接続しているリングを緩めるネジがこれ。
この部分はマフラーの熱とサビと砂で超絶固着しているから556とパーツクリーナーを駆使して鬼の形相で頑張る。リングを緩めたら後は接合部に556を振りまくって引っ張れば抜ける。
センタースタンドストッパーの取り付け
右側のマフラーを外したタイミングでセンタースタンドストッパーを取り付ける。
社外マフラーはセンタースタンドストッパーが無いとセンタースタンドがマフラーに干渉してしまう。
俺が購入したのはノジマのこれ。
これで3,000円はたけぇ...
センタースタンドストッパーを取り付けることでセンタースタンドが上に上がらなくなる。
左側マフラーの取り外し
左側は同じくタンデムステップのこれと
エキゾーストと接続するリングのこれの2か所。
すげぇシンプル。
マフラー取り付け時の注意点
マフラーを外し終わったらいよいよ新しいマフラーの取り付け作業に入るんだけど、その際の注意点は下記。
- エキゾースト接合部に液体ガスケットを塗布
- リング部分にカッパーグリースを塗布
- 取り付け後にパーツクリーナーで脱脂
エキゾースト接合部に液体ガスケットを塗布
スリップオンマフラーは中間部分からエキゾーストパイプに差し込むだけの超単純な構造だから、差し込み部分から排気が漏れないように液体ガスケットを塗布してから差し込む。
液体ガスケットは時間が経つとゴム状に固まるからパイプの隙間を埋めて排気漏れを防いでくれる。
リング部分にカッパーグリースを塗布
エキゾーストパイプとスリップオンマフラーの接合部はこういうリングで止めるんだけど、ここは超高温になるからネジもリングも固着する。
それを少しでも防ぐためにあらかじめ耐熱グリスを塗っておく。
取り付け後にパーツクリーナーで脱脂
マフラーの交換が終われば念入りにパーツクリーナーで脱脂する。
というのもマフラーは超高温になるから、手の油が付いているとその部分が黒く焦げてしまう。
それを防ぐためにパーツクリーナーで油を分解しながら念入りに拭く。
マフラーの騒音には最大限配慮する
これでおしまい。なんだかんだマフラー交換には6時間ぐらいかかったんだけど、ずぶの素人でもスリップオンマフラーの交換はできた。強靭なネジ類に対抗できるそれなりの工具を揃えればなんとかなる。
あと車検の基準を満たしていようといまいとエンジン音が迷惑なことには変わりないから、バイクのエンジンをかけるときは近所迷惑にならないように細心の注意を払って、なるべく駐車場から離れたところからスタートするのがおすすめ。
通報されるのはまだマシで、なによりも嫌がらせが怖い。そのためにもご近所さんには最大限配慮する。回り回って己が為。あと俺は車検に対応したマフラーに交換している。
使用した工具まとめ
- ラチェットハンドル × 2
- エクステンションバー
- ソケットセット6角
- ソケットセット6角差込
- 556
- パーツクリーナー
- スプリングツール
- 液体ガスケット
- カッパーグリース
- センタースタンドストッパー
- ウェス(タオル)
バイク日本一周まとめ
2019年4月にガジェマガで独立して、それを機にバイクで日本半周してきたのでその様子を記事とYoutubeにまとめています。